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BLUES & SOUL RECORDS No. 173発売
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ブルース&ソウル・レコーズ誌、173号が8月25日に発売になりました。巻頭はティナ・ターナー特集です。ソウル界では、「超」が付く大物でしたので、大々的な特集となっています。個人的にはアイクは見たことがありますが、ティナは見ずじまいでした。今更ながらしまったという感じがしないでもありません。

アルバム・ガイドはもちろんのこと、時代ごとのストーリーや70年代のアイク&ティナとして来日した際の公演の様子など、多角的な特集になっています。ソウル・シンガーの菅波ひろみさんが歌い手の視点で書かれたティナ像の記事も要注目です。(菅波さんはティナをテーマにしたライヴを11月29日に荻窪ROOSTERで開催予定です。)

世間一般にはティナがソロになってからの方が知られているのでしょうが、この特集ではアイク&ティナ時代に重きが置かれていますね。

僕はジョン・クリアリーの来日記念盤「ニュー・カインダ・グルーヴ〜ザ・ジョン・クリアリー・コレクション」の紹介記事を書きました。10月にLIVE MAGICで久々の来日をするジョン、見逃したくないですね。

あと当ブログでも紹介したジェイムズ・ブッカーの5枚組CDセットも2ページを使って紹介しています。原田和典さんが書かれています。「ブルース&ソウルが流れる店」では、5月に開店したばかりの高円寺Muddyも登場しますよ。

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BLUES & SOUL RECORDS NO. 173
2023年8月25日発売
定価: 1,800円+税(税込1,980円)表紙 ティナ・ターナー
 
追悼特集 ティナ・ターナー──人々に力を与えた不屈のロックン・ソウル・シンガー
 
今年5月24日に亡くなったティナ・ターナーは、圧倒的なステージ・パフォーマンスをみせたシンガーとして伝説的な存在です。60年代に夫婦デュオ、アイク&ティナ・ターナーとしてデビューし、その名は世界的に知られることになりました。そして80年代にソロ・シンガーとしてさらなる飛躍を遂げます。シンガーとしての成功に加え、私生活の苦難を乗り越えた彼女の姿は多くの人々に力を与え、その中にはビヨンセやリゾといった次世代のスターたちもいました。本特集では彼女の歩みを追い、その功績を讃えます。
 
★ 背中を押す慈悲深きパワー/自由をつかみ、自分を生きたティナ[妹尾みえ]
★ その歌声の向こう側から/真摯で柔軟な歌への姿勢[菅波ひろみ]
★ リトル・アンのお気に入り/若きティナが親しんだゴスペル/ブルース/R&B[編集部]
★ 運命の出会い/アイク・ターナーとセントルイスR&Bの狂騒[編集部]
★ 最初の一歩/ティナの初録音[鈴木啓志]
★ 偶然のデビュー/アイク&ティナ[編集部]
★ アイクとティナのノーザン・ソウル [鈴木啓志]
★ “ロックンロール女王”の出発点/フィル・スペクターの狂気が生んだ〈リヴァー・ディープ〜マウンテン・ハイ〉[柴崎祐二]
★ 英国のR&B旋風に乗る/初の渡英が開いた未来への道[編集部]
★ ディープ・ソウル・ファン必聴シングル [新井崇嗣]
★ ロックの舞台へ本格参入/大きな転機となった1969年[編集部]
★ 回り続けたプラウド・メアリー/ティナが生涯歌い続けた代表曲[日向一輝]
★ ソウル・トゥ・ソウル 魂の詩/アイク&ティナ絶頂期のロック&ソウル・ムーヴィ[森田 創]
★ アイク&ティナ・ターナー映像ソフト選[森田 創]
★ アイク&ティナ来日公演回想/音楽ファンを圧倒した本場のソウル・レヴュー[鈴木啓志]
★ ティナ・ザ・ファンク・シスター/アイク&ティナのブラック・ファンク[濱田廣也]
★ アイク・ターナー・アルバム・ガイド[小出 斉]
★ ショーに欠かせぬ三人娘 アイケッツ/ダンスとコーラスでティナを助けたアイケッツ[編集部]
★ 新たな人脈が生んだ復活劇/『プライヴェート・ダンサー』大成功への道[山﨑智之]
★ 時代を揺さぶるアイコンに/スターたちとの共演で見せた新しい女性像[濱田廣也]
★ ティナ、クイーン・オブ・ザ……/サンダードームからスイスまで 異郷を踏破した女王について[丸屋九兵衛]
★ 歌とともにある人生/壮絶な半生を描いた映画『TINA ティナ』[杏レラト]
★ ティナ・ターナー映像ソフト選[森田 創]
★ お茶の間のティナ/歌謡界・芸能界にも及んだインパクト[森田 創]
★ 「ティナ」を演じ切る/最愛の人との出会いと安息の日々[濱田廣也]
★ アイク&ティナ・ターナー/ティナ・ターナー・ソロ・アルバム・ガイド[小出 斉/妹尾みえ/森田創/濱田廣也]
★ ティナ・ターナー略年表
 
【その他の主な記事】
● ドラン・ジョーンズ・インタヴュー[編集部]
● アラバマ・マイク・インタヴュー[井村 猛]
● EMILANDセカンド・アルバム『Roll』[濱田廣也]
● [新企画] 日々是好盤〜最近なに聴いてますか?[新井崇嗣/有賀竜裕/森島繁美/濱田廣也]
● スタックス・デモ音源集 『Written In Their Soul: The Stax Songwriter Demos』[中河伸俊]
● ジェイムズ・ブッカー秘蔵ライヴ音源『JAMES BOOKER: Behind The Iron curtain plus ...』[原田和典]
● ニーナ・シモン生誕90周年記念コレクション[濱田廣也]
● Philadelphia Soul with Brotherly Love フィリー・ソウルを探る連続企画 第3回「Motownphilly〜モータウンとフィラデルフィアの甘やかな関係」[林 剛]
● [新作アルバム・リヴュー]アイズリー・ブラザーズ/ベティ・ラヴェット/ジョン・クリアリー/ヘレン・スミス 他
 
【連載】
☆ [新連載] Soul Twine 私のソウル・グルーヴ・ギター探求[高地 明]
☆ 完全なる真空管/丸屋九兵衛
☆ 永井ホトケ隆 好評連載「Fool’s Paradise」第21回
☆ KEEP ON KEEPIN’ ON ソウル/ファンク名盤のメッセージを読む 第16回 『ロバータ・フラック/ファースト・テイク』/中田 亮
☆ SONS OF SOUL/林 剛
☆ ゴナ・ヒット・ザ・ハイウェイ〜西海岸と南部を結ぶ「I-10」沿道音楽巡り/日向一輝
☆ なんてったってインディ・ソウル 蔦木浩一×齋藤雅彦×編集部H
☆ リアル・ブルース方丈記/日暮泰文
☆ フード・フォー・リアル・ライフ 〜歌詞から見るブルース&ソウルの世界/中河伸俊
☆ 小出斉の勝手にライナーノーツ「IKE TURNER Presents THE FAMILY VIBES / Strange Fruit」
☆ 鈴木啓志のなるほど! ザ・レーベル VOL.102「Pompeii」
☆ ゴスペル・トレイン「ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピのリード・シンガー(5)」/佐々木秀俊+高橋 誠
☆ BLUES IS MY BUSINESS no.249/吾妻光良
☆ いづみやの曲追い酩酊談/佐々木健一
☆ 原田和典の魂ブチ抜き音楽
☆ 文聞堂書房〜古書掘りコラム/出田 圭
☆ ICHIのチタリン・サーキット最前線
☆ International Music Stroll〜世界の音楽にぷらりと出会おう/ワダマコト
☆ すべてこの世はブルースかも/辻昌志
☆ ニッポンの。国内アーティスト新譜紹介/妹尾みえ
☆ ブルース&ソウルが流れる店/轟美津子/加藤千穂
☆ Ain’t That Good News 国内ライヴ/イヴェント情報ほか


BSR誌 | 16:02:44 | コメント(0)
ジェイムズ・ブッカーの超絶CDセット発売
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すごいものが出てしまいました。ニューオーリンズの奇才ピアニスト、ジェイムズ・ブッカーの5枚組ライヴCDです。1976年から1977年にかけてのヨーロッパ・ツアー3公演をフル・セットで収録したものです。

1976年12月22日の東ベルリン公演、1977年1月27日のスイス・ローザンヌ公演、そして1977年10月29日のライプツィヒ公演です。ライプツィヒ公演については、1990年代にドイツ盤LP「Let’s Make A Better World」でリリースとなっていましたが、他の2公演は全くの初出。ライプツィヒ公演についてもLPでリリースされたのは全体の半分程度で、曲順も入れ替わっていました。今回初めてその公演の全貌が明らかになったわけです。

ブッカーは1983年に亡くなっていますが、1977年頃はまだ体調を崩す前の時期であり、いずれのライヴもソロの弾き語りながら、他の作品と比較しても生き生きとした演奏が展開されています。絶好調です。

時間にして実に5時間半!でも、全く飽きさせないのです。というのも、3公演は結構内容も違い、同じ曲であっても、例えば"On The Sunny Side Of The Street"などは、東ベルリンとライプツィヒでは単独のインストでやっているのに対し、ローザンヌではメドレーの中で歌入りでやっていたりと大きく表情が変わります。ブッカーの自由奔放さを感じ取ることができるのです。

そもそも、やっている曲自体かなり入れ替わっています。数えてみたところ、3公演で共通してやっているのは10曲程度。取り上げている曲数は全57曲にも及びます。東ベルリンではビートルズ・メドレーや"You Are My Sunshine"などが飛び出し、ローザンヌではTボーン・ウォーカーの"Stormy Monday"やファッツ・ドミノ風に"Blueberry Hill"もやっています。ライプツィヒ公演では"My Way"なんていうベタな曲をプレイしているのもある意味ブッカーらしいところ。これがまた涙がでるほど美しいんですよ。

曲のひとつひとつの表情がとても豊かで、思わず歓声を上げたくなる演奏なのです。

この時期のライヴ・アルバムは他にもありますが、これは音質もよく、間違いなくベストのひとつだと思います。

なぜこんなものが今になって出てきたのかというと、当時ブッカーのヨーロッパ公演をブッキングしたコンサート・プロモーターのドイツ人、ノーバート・ヘスが2021年に亡くなり、ベア・ファミリー・レーベルの創設者のリヒャルト・ヴァイツェが彼の遺品からこれらのテープを見つけたのだそうです。ヴァイツェは既にベア・ファミリーを退職していますが、この貴重な発見を埋もれさせることなく、Richard Weize Archivesという自分のレーベルからリリースしてくれたのですから、頭が下がります。素晴らしい!

このCDはLPサイズのハードカバーのブックレットに収納されています。このブックレットは60ページの力作。全ページカラーで、ヨーロッパ公演の写真やポスター、LPレコードのジャッケットやチケットなどの画像で彩られています。ページをめくるだけでワクワクです。本CDのプロデューサーでもあるヨハネス・ヴェヒター氏のライナーの情報量も特筆に値します。ブッカーのバイオはもちろん、ノーバート・ヘスがブッカーをヨーロッパに招聘した経緯から、ツアー中の様子など非常に事細かに記されています。

この公演があった頃は世界は冷戦真っ只中。旧共産圏諸国では西側の音楽は敵性文化として取り締まられるような時代。そんな時代にヘスはブッカーを東ドイツで公演させていたのです。しかし、東ドイツのお客さんもとても盛り上がっている様子が歓声や拍手から伝わってきます。ヨーロッパでブッカーはどこへ行っても大変な歓待を受けていたそうです。

1975年の初ヨーロッパ・ツアーはブッカーにとって初めての海外でもありました。そのツアーは3ヶ月半にも及んだそうです。当時のストーリーを記したこのブックレットを見ていると、ブッカーが元気だったこの時代にタイムスリップしたような気分になってきました。ブックレットにはこの他シリル・ネヴィルによるブッカーとの思い出を語った寄稿も含まれています。これも興味深い内容でした。

ちなみにブッカーをヨーロッパに呼んだノーバート・ヘスは身よりもなく、ベルリンのアパートで孤独に最期を迎えたそうです。そんな状況だったため、彼が長年収集した音楽に関する写真や貴重な品々の多くは誰にも引き取られることもなく処分されてしまったそうです。この音源が処分されなかったのは不幸中の幸いだとしみじみと思います。そう考えながら聴くとまた一段とブッカーの演奏が五臓六腑に染み渡るのですよ。

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James Booker / Behind The Iron Curtain plus…
(Richard Weize Archives RWA 11002)
発売日:2023年3月10日
5 CD set (EU盤)

[CD 1]
December 22, 1976
Haus der jungen Talente, East Berlin, German Democratic Republic
1. Classified
2. Slowly But Surely
3. One Helluva Nerve
4. A Taste Of Honey
5. Tico Tico
6. Let's Make A Better World
7. Please Send Me Someone To Love
8. Malagueña
9. Bei mir bist du schön
10. Jambalaya〜Baby Face
11. Goodnight Irene
12. Ain't Nobody's Business〜Trouble In Mind
13. Life
14. Tell Me How Do You Feel


[CD2]
December 22, 1976
Haus der jungen Talente, East Berlin, German Democratic Republic
1. I'll Be Seeing You
2. United Our Thing Will Stand
3. People Get Ready
4. Eleanor Rigby〜My Love〜Let It Be
5. On The Sunny Side Of The Street
6. Für Elise〜I've Had My Fun
7. All By Myself〜I'm In Love Again
8. Rockin' Pneumonia And The Boogie Woogie Flu
9. Come In My House
10. Goodnite, Sweetheart, Goodnite〜Let's Make A Better World
11. You Are My Sunshine〜Sixty Minute Man
12. Them That Got〜Old Folks At Home (Swanee River)〜My Bonnie

[CD3]
January 27, 1977
Radio Lausanne, Studio 8, Lausanne, Switzerland

1. Malagueña
2. Für Elise〜One Helluva Nerve
3. Classified
4. Let's Make A Better World
5. Come In My House
6. Blues Minuet
7. Pixie
8. Please Send Me Someone To Love
9. Bei mir bist du schön〜On The Sunny Side Of The Street
10. Slowly But Surely
11. A Fool For You
12. Blueberry Hill〜Let The Four Winds Blow
13. Tico Tico
14. Life
15. United Our Thing Will Stand
16. Goodnight Irene
17. Stormy Monday

[CD4]
October 29, 1977
Moritzbastei, Leipzig, German Democratic Republic

1. Life
2. Let's Make A Better World
3. Let Them Talk
4. A Taste Of Honey〜Goodnight Irene
5. Eleanor Rigby
6. On The Sunny Side Of The Street
7. Come In My House
8. Junco Partner
9. Save Your Love For Me
10. Something Stupid
11. Put Out The Light
12. One Helluva Nerve
13. My Way
14. Come Rain Or Come Shine
15. Iko Iko

[CD5]
October 29, 1977
Moritzbastei, Leipzig, German Democratic Republic

1. Baby Face
2. So Swell When You're Well
3. Lah Tee Tah
4. A Little Tune For Lefty
5. Since I Fell For You
6. Bei mir bis du schön
7. Black Night
8. Come In My House
9. He's Got The Whole World In His Hands
10. Let's Make A Better World (Reprise)
11. Slowly But Surely
12. People Get Ready
13. Blue Minute Waltz
14. Malagueña
15. United Our Thing Will Stand

booker booklet


ニューオーリンズ | 01:44:17 | コメント(0)
復活!Country Blues Heaven
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Country Blues Heavenが6年ぶりに開催されました。知る人ぞ知るディープなブルース・バー、江古田倶楽部が主催し2009年に初めて開催。以後不定期ながら2017年まで5回を数えています。江古田のBuddyが会場となっていましたが、2017年は豊橋に遠征しています。

江古田倶楽部でライヴをやってきたミュージシャンたちが集まり、その名の通りカントリー・ブルース展開するイベントです。渋いと言えば渋い。いや激渋です。

近年は江古田倶楽部のマスター、出原義史さんが体調を崩して入退院を繰り返していました。更に2020年以降コロナ禍に突入したことにより、Country Blues Heavenはおろか、お店もまともに営業はできない状況が続きました。そして2021年8月6日に出原さんが亡くなり、40年以上に渡る江古田倶楽部の歴史に幕が下ろされたのでした。

そんな状況でしたが、Country Blues Heavenは会場を横浜に移し、なんと6年ぶりに復活しました。出演者のひとりだったなにわのてつ(藤縄てつや)さんが数ヶ月前に「やろう」と言い出したのがきっかけだったそうです。出演したのはそのてつさんを含め、過去のCountry Blues Heavenでお馴染みの7名。

土曜日の16時、シンガーソングライターの垂水秀人さんのMCに続いて登場したのはROIKIさん。トークで笑いを取りつつも、のっけから相当ドロドロと濃いやつ来ました!お客さんも結構入っていて、弾き語りのライヴなのに熱気を感じます。まあ、猛暑のせいかもしれませんが、季節と雰囲気は合っていますね。


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ROIKI

続く菅原広巳さんは同じ弾き語りでもフォーキーで牧歌的な好対照なサウンド。出演者それぞれが個性を発揮したステージを見せてくれるので、飽きることがないです。ベア・ホーク・ウルフさんはタップダンスに加え、選曲もジャズ寄りなものを織り込み多彩でした。豊橋からやってきた銀次郎さんは豊橋での開催は主導的な役割を果たしたそうですが、関東でのBlues Heavenは初出演とのこと。レゾネーター・ギターでロバート・ジョンソンなどのブルースをプレイしました。

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菅原広巳

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銀次郎

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ベア・ホーク・ウルフ


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なにわのてつ

W.C.カラスさんは近年WILD CHILLUNでの活躍もあり、どブルースの印象は薄いですが、この日は渋ーくSMブルースからスタート。しかし終盤は軍手の煮浸しで前のめりになり、うどんやで泣いたでは客席大合唱に。大いに盛り上げてくれました。

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W.C.カラス

そして、彼のあとに出てトリを務めたのはコージー大内さん。めちゃくちゃカッコいいけど笑っちゃう。あのノリは彼しか出せない世界ですね。なにわのてつさんもウォッシュボードなどで共演し、盛り立てます。そうそう、コージーさんは今新作を作っているとのことで、新ネタも織り込んでいました。楽しみですね。

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コージー大内

そして最後は出演者全員戻ってきてコージーさんのMojo Workin’の替え歌からSweet Home Chicagoへ。賑やかにフィナーレとなりました。終演後時計を見たらなんと21時を回っていました。5時間に渡るイベント。楽しかったですねー。当初心配されたチケットの売れ行きも最終的には、ほぼソールドアウトに近い状態だったそうで、期待していた人は多かったんでしょうね。江古田から離れた会場ではありましたが、江古田倶楽部常連さんだった人も多く来場していました。

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フィナーレも盛り上がりました

てつさんの思いつきから始まったそうですが、来年以降もまたやってほしいですね。

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Country Blues Heaven in Yokohama 2023
横浜Thumbs Up
2023年7月22日(土)15:30開場 16:00開演
出演者:W.C.カラス / ROIKI / なにわのてつ / コージー大内 / 銀次郎 / ベア・ホーク・ウルフ / 菅原広巳
前売:3,500円 当日:4,000円


ブルース | 18:46:47 | コメント(0)
松尾潔-山下達郎論争
松尾潔さんと山下達郎さんの一件、大きな論争になっていますね。僕のSNS周辺には山下さんのファンも多いようで、今回の件を辛い思いで見ている人も少なくないでしょう。

僕は山下さん、松尾さんいずれもファンでも知り合いでもなく、特にどちらかに肩入れする理由はありません。(松尾さんは、僕がブラック・ミュージック・リヴュー[bmr]に書き始めた90年代、同誌で連載をされていて文章を読んだことはありますが、交流はなかったです。)なので、この一件については冷静な第三者的な視点で見ることができるのではと思っています。

事の発端となった5月15日のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』における松尾さんのジャニーズ事務所に関するコメント、山下さんのマネジメント会社スマイルカンパニー(SC)との契約終了を報告した7月1日のツイートとSC社長によるリリース文、松尾さんの日刊ゲンダイでのその詳細経緯説明、そしてそれを受けての山下さんの7月9日サンデー・ソングブックでのコメント、ひと通り目を通しました(それぞれの内容を記載したページを末尾に載せました)。性加害問題に対する松尾さんのコメントには共感を覚えつつ、率直に言って松尾さん、山下さん、僕には「どっちもどっち」と映りました。

RKBラジオでの松尾さんの発言はジャニーズ批判というよりは、「今後のためにもジャニーズ、そして音楽業界はしっかりこれを機に対応するべき」との前向きな意見と理解しました。現状ジャニーズ事務所の対応が不十分であるということは言っているものの、BBCの番組や性被害告発者側の主張を鵜呑みにしてジャニーズ側を非難するような一方的な立場は取っていません。

そして、契約終了の件について。「私がメディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です」としているツイートを見た時点では、松尾さんが理由を推測しているのかなとも思いましたが、日刊ゲンダイの記事を見るとそうではないことがわかります。彼のRKBラジオでの発言がニュースになった2日後にSC社長に呼び出され、ジャニーズの名前をメディアで口にしたことを理由に中途解約を切り出されたとのこと。後日SC社長が確認を取ったところ山下さんも賛成したという内容です。文面からは、山下さんに対して非常に気を遣い、直接的な批判を避けているのが感じられました。これまで良好な関係だった彼との関係を決定的に破壊するのは避けたかったのではないかと推測します。

しかし、僕はここに引っ掛かりました。ならば、なぜ7月1日のツイートで山下さんをわざわざ引き合いに出して契約終了を公に報告したのだろうと。そして、経緯をこと細かに明らかにする前になぜ山下さんと直接話さなかったのだろうと、モヤモヤっとしたものを感じずにはいられませんでした。日刊ゲンダイの記事で松尾さんは「メールを含む(山下)夫妻への直接の連絡は一切控えた」、「達郎さんに直接コンタクトを取るのはやはりためらわれた」としています。つまり連絡しようと思えばできたのにあえてしなかったということです。

SC社長への気遣いや何らかの内部の取り決めがあったのは想像に難くないです。でも、直接山下さんと話もしないまま、ここまで書くのはどうなんだろう?と思わずにはいられませんでした。結局松尾、山下両氏とも本件の重要な部分で間に第三者が入っているために、ボタンの掛け違いが発生している印象を持ちました。

今回の穏やかでない状況からすれば、松尾さんから山下さんへの連絡は実際には取りにくい状況だったのかも知れません。仮にそうだったとしても、松尾さんは詳細を明らかにする前に山下さんへの連絡を試みるべきだったと思うし、結果的に連絡がつかなかったのであればその経緯も説明した上で、前述記事を書けばよかったと思います。そんなことをしたら、山下さんに喧嘩を売ることになると考えたのでしょうか?しかし、ある意味7月1日のツイートで松尾さんはその道への一歩を既に踏み出してしまったのだと僕は思います。あのツイートをした時点で、最悪の場合山下さんと一戦を交える覚悟もなかったのかと驚いてしまいます。ジャニーズに関する松尾さんの発言については全くその通りだと僕も思うし非常に立派ですが、自身の契約終了の話となると中途半端だと感じます。一戦を交える覚悟がないのなら、不満は仕舞いこんでそっと退場すればよかったのではないでしょうか? 逆に案外直接話していれば、こんなことにはならず円満な関係を続けられたかも知れません。人間関係は意外とそんなものです。

そして山下さん側については、彼自身の発言はものの見事悪い意味で思った通りでした。基本的には性加害の問題も松尾氏の契約終了の問題も他人事のようで、まるで説明の体をなしていないと感じました。自ら誘った松尾氏の契約を終了する場に出てこなかった人なので、「サンデー・ソングブック内にて、山下達郎本人より大切なご報告がございます。」と事前に発表した上で語ったのは、思ったよりはしっかり対応していたと言えなくもありません。しかし、その内容が酷すぎました。

今回のジャニー喜多川氏の性加害問題について「作品に罪はありません」と作品を切り離して考える意思を示しつつ、山下さんの姿勢に批判的な人に対しては「きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」と明らかに矛盾すること言ったことにそれは端的に表れていると思います。これは今心を痛めている彼のファンへの挑発に等しいし、彼らに対して微塵も敬意がないことを示しています。だって「俺の態度が嫌なら聴くなよ」そういうことでしょ?

山下さんがジャニーズ事務所に対して恩義を感じていることはわかりますが、今回彼の発言に耳を傾けた人たちはそんなことが聞きたかったわけではないでしょう。今回のコメントが松尾さんの契約終了に関する一件を受けてのものである以上、まずきちんと説明しなければならないのは、その点です。これについては:
「松尾氏が憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因となったことは認めるものの、理由は決してそれだけではない」
との説明でした。彼が言う「憶測に基づく一方的な批判」が具体的に何を指すのかは語っていません。僕が見る限り松尾さんは慎重に言葉を選んでおり、ジャニー喜多川氏を非難することすらしていません。「憶測に基づく一方的な批判」などしていないと思います。

そして「理由は決してそれだけではない」に関しては、含みを持たせただけでこれ以上何も言っていません。松尾さんは「ジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由」と明言しているのですから、それ以外の理由があるのであれば、そのような勿体ぶった言い方をすべきではないでしょう。受け手の想像で松尾さんを悪者に仕立て上げようとする悪意を感じてしまうのは僕だけでしょうか?

山下さんがジャニー喜多川氏の性加害を知らなかったというのは恐らくそうなんでしょう。そう明らかにした上で山下さんはこうコメントしています。「性加害が本当にあったとしたら、それはもちろん許しがたいことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます。」これは基本的に松尾さんの言われていたことと同じではないでしょうか。本当にそう思っているのなら、なぜ松尾さんの契約終了に賛成なのか、ますます「それだけではない」部分を説明しなければ筋が通りませんよね。一番肝心なところを煙に巻いたままの説明でしかありませんでした。

性加害を擁護しているのではなく、アイドルたちに敬意を持って接したいだけなのだということですが、そのアイドルたちの一部が被害者として声を上げ始めている事実は無視でしょうか?それが果たして敬意をもって接していることになるのでしょうか?

今の世の中は黙っていると嘘が拡散してしまうので、山下さんも説明しておく必要性を感じたとのことでした。しかし、彼の今回のコメントは正しい理解を深める説明になったのでしょうか?僕には到底そうは思えません。

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【情報源】

5/15/2023『田畑竜介 Grooooow Up』における松尾潔氏のジャニーズに関するコメント(文字お越し)
https://rkb.jp/contents/202305/167325/

松尾潔氏の7/1/2023契約終了に関するツイート
https://twitter.com/kiyoshimatsuo/status/1675045489748873216

スマイルカンパニー小杉社長のリリース文(7/5/2023)
https://smile-co.jp/info/20230705.html

松尾潔氏、契約終了に関する詳細経緯説明(日刊ゲンダイ)(7/6/2023)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/325603

山下達郎氏、7/9/2023サンデー・ソングブックでのコメント(文字お越し)
https://www.oricon.co.jp/news/2286351/full/


音楽全般 | 01:27:10 | コメント(9)
BLUES & SOUL RECORDS No. 172発売
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ブルース&ソウル・レコーズ誌の172号が発売になりました。前号に続き70年代ソウルの基礎知識のパート2という形です。今回はモータウンに焦点が当てられています。モータウンというとヒット曲を量産した1960年代がまず思い浮かぶと思いますが、1970年代に入り西海岸に移転。アーティストにより大きな自由を与えることにより、マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」などの名作が生まれました。マーヴィンはもちろん、スティーヴィ・ワンダーなどこの時期に活躍したアーティストを徹底的に取り上げています。

その他個人的には永井“ホトケ”隆さんのブルーズ・ザ・ブッチャー新譜リリースに伴うマディ・ウォーターズを語った連載や、7月に来日するドラン・ジョーンズの記事なども興味深かったです。

僕は、新譜リヴュー・コーナーでジョー・クラウンの「Tribute」とジョニー・サンソンの「Into Your Blues」を紹介しました。どちらも非常にいい作品なので是非聴いてみてください。

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BLUES & SOUL RECORDS NO. 172
2023年6月25日発売
定価: 1,800円+税(税込1,980円)

表紙 マーヴィン・ゲイ
特集 70年代ソウルの基礎知識 Pt.2: マーヴィン・ゲイとモータウン

ソウル入門特集[70年代編]の第2弾は、世界で最も有名なソウル・アルバムの一枚、マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オン』を生み出した、70年代のモータウン・レコードを紹介します。スティーヴィ・ワンダー、ジャクスン5など、70年代のモータウンを代表するアーティストや、知る人ぞ知る作品まで、アルバム150枚を取り上げています。
 
★ 魔法はつづく/モータウンの70年代[濱田廣也]
★ マーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイング・オン』を再考する[1]明日に向けて 内と外との対峙/セルフケアとしての『ホワッツ・ゴーイング・オン』[柴崎祐二]
★ 時代を先駆けたプロデューサー気質/『ホワッツ・ゴーイング・オン』の音像を考える[小渕 晃]
★ 名曲に重ねられた思い/『ホワッツ・ゴーイング・オン』収録曲カヴァー選[原田和典]
★ マーヴィン・ゲイ/70年代アルバム・ガイド[有賀竜裕/小出 斉/妹尾みえ/林剛/平野孝則/森田創]
★ 70年代モータウン・アルバム・ガイド
[新井崇嗣/有賀竜裕/小出 斉/妹尾みえ/林剛/日向一輝/平野孝則/森島繁美/森田創/濱田廣也]
○[70年代モータウン・レジェンド]
[1]スティーヴィ・ワンダー
[2]スモーキー・ロビンスン&ミラクルズ
[3]テンプテーションズ(デイヴィッド・ラフィン、エディ・ケンドリクス)
[4]ダイアナ・ロス
[5]スプリームズ
[6]Jr.ウォーカー&ジ・オールスターズ
[7]ジャクスン5(マイケル、ジャーメイン、ジャッキーのソロ作)
[8]グラディス・ナイト&ザ・ピップス
[9]オリジナルズ
[10]ウィリー・ハッチ
[11]アンディスピューテッド・トゥルース
[12]ダイナミック・スーペリアーズ
[13]G.C.キャメロン(スピナーズ)
[14]コモドアーズ
[その他の主なアーティスト]
フォー・トップス/エドウィン・スター/マンドレ/リック・ジェイムズ/テルマ・ヒューストン/ハイ・イナジーほか
★ [コラム] 南ア歌手と“十字軍”が見せた70年代モータウンの覇気[高地 明]
★ [コラム] モータウンのスターたちの置き土産 ライヴ・イン・ジャパン ’73 [編集部]
★ [コラム] もし当時出ていたら……実力者たちのお蔵入りしたアルバム[編集部]
 
【その他の主な記事】
● ブラッデスト・サキソフォン feat. クリスタル・トーマス新作『Good Morning』/甲田伸太郎インタヴュー[編集部]+『Good Morning』クロス・リヴュー[妹尾みえ/やすだあきよし/原田和典]
● 追悼 ティナ・ターナー 1939-2023 [濱田廣也]
● 永井“ホトケ”隆インタヴュー/ブルーズ・ザ・ブッチャー新作『Feel Like Going Home』を語る[井村 猛]
● まもなく来日、現代ソウルのヴァンガード、ドラン・ジョーンズ[濱田廣也]
● マイアミ・ソウルの至宝を掘り下げるリイシュー・シリーズ《マイアミ・マスターピース・コレクション》[濱田廣也]
● R&Bの起点へ ニュー・ジャック・スウィング〜ヒップホップ・ソウル/《Throwback Soul》を案内役に30年の時をつなぐ[後編][山内善雄×林剛 + 濱田廣也]
● 追悼 チャック・ジャクスン 1937-2023[鈴木啓志]/オリジナル・アルバム・ガイド[濱田廣也]
● [新作アルバム・リヴュー]スモーキー・ロビンスン/ウィリアム・ベル/ファンタスティック・ネグリート/クラレンス・リード 他
 
【連載】
☆ [新連載] 完全なる真空管/丸屋九兵衛
☆ 永井ホトケ隆 好評連載「Fool’s Paradise」第20回
☆ KEEP ON KEEPIN’ ON ソウル/ファンク名盤のメッセージを読む 第15回 『アリサ・フランクリン/レイディ・ソウル』/中田 亮
☆ SONS OF SOUL/林 剛
☆ ゴナ・ヒット・ザ・ハイウェイ〜西海岸と南部を結ぶ「I-10」沿道音楽巡り/日向一輝
☆ なんてったってインディ・ソウル 蔦木浩一×齋藤雅彦×編集部H
☆ リアル・ブルース方丈記/日暮泰文
☆ フード・フォー・リアル・ライフ 〜歌詞から見るブルース&ソウルの世界/中河伸俊
☆ 小出斉の勝手にライナーノーツ「EDDIE ‘GUITAR’ BURNS / Bottle Up And Go」
☆ 鈴木啓志のなるほど! ザ・レーベル VOL.101「Jaber」
☆ ゴスペル・トレイン「ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピのリード・シンガー(4)」/佐々木秀俊+高橋 誠
☆ BLUES IS MY BUSINESS no.248/吾妻光良
☆ いづみやの曲追い酩酊談/佐々木健一
☆ 原田和典の魂ブチ抜き音楽
☆ 文聞堂書房〜古書掘りコラム/出田 圭
☆ ICHIのチタリン・サーキット最前線
☆ International Music Stroll〜世界の音楽にぷらりと出会おう/ワダマコト
☆ すべてこの世はブルースかも/辻昌志
☆ ニッポンの。国内アーティスト新譜紹介/妹尾みえ
☆ ブルース&ソウルが流れる店/轟美津子/加藤千穂/スカンクちかの
☆ Ain’t That Good News 国内ライヴ/イヴェント情報ほか


BSR誌 | 01:59:59 | コメント(0)
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