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東京の猛暑にエクセロのルイジアナ・サウンドを
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連日異常なまでの猛暑が続きますね。

こんな季節にはルイジアナのまったりとしたブルースが聴きたくなりませんか?そうです。皆大好きエクセロ・サウンドです。スリム・ハーポを筆頭としたあのしっとり(いやじっとり?)かつほのぼのとゆるいあの独特なサウンド。一度ハマるとするめのように癖になりますよね。

そんなエクセロをテーマにしたフェスが開催されました。主謀者は、5月に高円寺でMuddyというバーを開店させた徳力洵さんです。しかもこの企画、今回で5回目なんだそうです。本場ルイジアナでもあり得ないようなこんなフェスを日本でやってしまうとは何とも頭がいかれています。きっとこの猛暑で加速してしまったのでしょう。

「日本最大級のエクセロイベント」だそうですが、当たり前です。こんなイベントは他にありませんから(笑)。


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All-starsで奏でる"Rainin' In My Heart"

8月7日、会場はもちろん高円寺Muddy。月曜日にも関わらずお店は頭の逝っちゃった人たちで溢れました。19:30を回った頃、この日出演予定のミュージシャン全員が壇上に上がり、スリム・ハーポの"Rainin’ In My Heart"からスタートしました。いきなりフィナーレのような展開にのけぞる客席。いやいや素晴らしい。途中の加山雄三的語りをやったのはLos Royal FlamesのCount D.。やっぱりやりますよね、いくらベタでもこれは外せない。

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ロッキン・エノッキー

その後は、まずロッキン・エノッキーさんがソロでロカビリー、カントリー的なものも混ぜ込んだセットを披露。ソロとは言っても弾き語りのようなしっとりとしたものではないですよ。クラレンス・ガーロウの"Route 90"などノリノリな演奏でした。

続くLos Royal Flames。もちろんいつものスワンプ・ポップのレパートリーもありましたが、この日のためにスリム・ハーポの"Got Love If You Want It"などエクセロのナンバーもいくつかやってくれましたよ。のんちゃんのリヴァーヴ効きまくりのギター、最高ですね。

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Los Royal Flames

最後はマスター徳力さんのギターとハーピスト、タケちゃんのRainin’ In My Hearts。もう、この名前だけで持っていかれるでしょ?段ボールで作ったドラムも入った3人編成。スリム・ハーポはもちろん、エクセロ・サウンド満載でしたよ。途中からギターの人がもう一人入りますますパワー・アップ。スワンピーなこの雰囲気。ここは一体どこの国なんでしょう?(笑)


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Rainin' In My Hearts

彼らのセットが終わった頃にはときは既に10時となっていましたが、最後にエノッキーさんとCount D.によるエクセロ対談という、これまたマニアックなものが待っていました。雰囲気は飲み話(というか本当に飲み屋での話ですから)で、エクセロの名盤がレコーディングされたルイジアナ州クロウリーに行った際のエピソードが語られました。あそこはアメリカ随一の米の産地で「Rice Capital of the World」という看板が掲げられていたとか、ミュージアムにJ.D.ミラーの蝋人形があったとか、面白い話が飛び出しました。なかなか、クロウリーまでは行かないもんね。

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ライヴ終了後にはJ.D.ミラーを語るトークコーナー

という訳で全てが終わった頃には開演後3時間が経過していました。フジロックなどでは絶対に味わえない場末な雰囲気がなんとも気持ちのよい一夜。やっている人たちが何より楽しそうでした。これ、結構重要です。ぜひこれは今後も続けてほしいです。

あとついでに言いますと、Muddyは敷居も低いとても居心地のよいいいお店ですよ。高円寺の駅からも近く、飲んだ後にちょっと寄るには最適です。ライヴはときどきあるだけですけど、毎日2時までやっているらしいです。(月曜定休)ぜひ行ってみてくださいね。

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高円寺Muddy (旧Traghetto)
〒166-0002 東京都高円寺北3丁目22−7 プラザ高円寺 2F
Tel. 03-6320-7454
https://twitter.com/Muddy2360289068
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ブルース | 01:18:22 | コメント(0)
ハリケーン・カトリーナの上陸記念日-18年が経ちました
今年も8月29日がやってきました。ハリケーン・カトリーナがルイジアナ州に上陸した日。

2005年8月29日の米国中部時間午前6時10分ごろ、カトリーナはメキシコ湾からニューオーリンズ南東80キロに位置するルイジアナ州ビュラス付近に上陸しました。同日の午前8時14分には米国立気象局のニューオーリンズ事務所が市内の産業用水路の堤防が決壊したことを発表。それから1時間も経たずに市内のロウワー・ナインス・ワード地区が6フィート(1.8m)もの洪水で浸水してしまったのでした。アメリカ全体での死者数は最新(2023年)の推計で1,392名に上っています。

あれから18年が経ちました。

カトリーナは暴風雨そのものによる被害はさほど甚大ではなかったのですが、ニューオーリンズ市内の複数の防波堤と堤防が決壊し、市内の80%が浸水するという前代未聞の惨事を引き起こしたのでした。当時は、現地からその様子が伝わるにつれ信じられない思いでした。僕もその前年にニューオーリンズに行っていたので、特にです。

カトリーナを歌った曲と言えば、僕はこれが思い出されます。

Anders Osborne / Oh Katrina


僕はカトリーナの翌年ジャズフェスでアンダースがこれをやっているのを聴いた記憶があります。いい曲ですよね。

もうちょっとストレートにカトリーナのことを歌ったブルースをブライアン・リーが歌っています。

Bryan Lee / Katrina Was Her Name


他にもいろいろありますので、探してみてください。

今年も当然現地ではハリケーンのシーズンになっています。今のところ、大きな嵐はないようですが、専門家によると10月までのハリケーンのシーズンは例年よりも厳しいものになるとの予測が出ています。今日現在、ハリケーン・イダリアがフロリダ半島に接近していることから警戒が呼びかけられています。

それとは別に、つい先日8月20日ごろ、ハリケーン・ヒラリーが北米の太平洋側に接近し、南カリフォルニア州も熱帯暴風雨域に入ったそうです。南カリフォルニアの夏は通常は非常に乾燥しており、滅多に雨すら降りません。何ともびっくりなニュースでした。この地域にハリケーンが来るのは1997年のハリケーン・ノーラ以来のことだそうです。ヒラリーはカリフォルニアには上陸しませんでしたが、メキシコのバハカリフォルニア北部に上陸。砂漠地帯のデス・ヴァレーで大雨が降り、洪水が発生したとの報道もありました。にわかには信じられません。

今年の日本の気候も異常ですが、本当にどんどんどんどん世界規模で気象がおかしなことになっていますね。

なんとか今年のハリケーンが穏やかで済みますように。日本もこれ以上狂ったことになりませんように。
などと考えつつ迎えた2023年の8月29日でした。

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【過去のハリケーン・カトリーナに関する書き込み】
2022年(17周年) https://bluesginza.blog.fc2.com/blog-date-202208.html
2021年(16周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1944.html
2020年(15周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1907.html
2019年(14周年)  http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1856.html
2018年(13周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1797.html
2017年(12周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1751.html
2016年(11周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1708.html
2015年(10周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1644.html
2014年(9周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1564.html
2013年(8周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1441.html
2008年(3周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/161.html
2006年(1周年) http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/36.html

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ハリケーンの第一報を聞いた直後の書き込み
〜ニューオリンズのハリケーン (2005/8/30)〜
http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/8.html

ハリケーンから1ヶ月、街に人が戻り始めた際の書き込み
〜フレンチクオーター復活の第一歩 (2005/9/30)〜
http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/15.html


ニューオーリンズ | 12:00:00 | コメント(0)
BLUES & SOUL RECORDS No. 173発売
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ブルース&ソウル・レコーズ誌、173号が8月25日に発売になりました。巻頭はティナ・ターナー特集です。ソウル界では、「超」が付く大物でしたので、大々的な特集となっています。個人的にはアイクは見たことがありますが、ティナは見ずじまいでした。今更ながらしまったという感じがしないでもありません。

アルバム・ガイドはもちろんのこと、時代ごとのストーリーや70年代のアイク&ティナとして来日した際の公演の様子など、多角的な特集になっています。ソウル・シンガーの菅波ひろみさんが歌い手の視点で書かれたティナ像の記事も要注目です。(菅波さんはティナをテーマにしたライヴを11月29日に荻窪ROOSTERで開催予定です。)

世間一般にはティナがソロになってからの方が知られているのでしょうが、この特集ではアイク&ティナ時代に重きが置かれていますね。

僕はジョン・クリアリーの来日記念盤「ニュー・カインダ・グルーヴ〜ザ・ジョン・クリアリー・コレクション」の紹介記事を書きました。10月にLIVE MAGICで久々の来日をするジョン、見逃したくないですね。

あと当ブログでも紹介したジェイムズ・ブッカーの5枚組CDセットも2ページを使って紹介しています。原田和典さんが書かれています。「ブルース&ソウルが流れる店」では、5月に開店したばかりの高円寺Muddyも登場しますよ。

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BLUES & SOUL RECORDS NO. 173
2023年8月25日発売
定価: 1,800円+税(税込1,980円)表紙 ティナ・ターナー
 
追悼特集 ティナ・ターナー──人々に力を与えた不屈のロックン・ソウル・シンガー
 
今年5月24日に亡くなったティナ・ターナーは、圧倒的なステージ・パフォーマンスをみせたシンガーとして伝説的な存在です。60年代に夫婦デュオ、アイク&ティナ・ターナーとしてデビューし、その名は世界的に知られることになりました。そして80年代にソロ・シンガーとしてさらなる飛躍を遂げます。シンガーとしての成功に加え、私生活の苦難を乗り越えた彼女の姿は多くの人々に力を与え、その中にはビヨンセやリゾといった次世代のスターたちもいました。本特集では彼女の歩みを追い、その功績を讃えます。
 
★ 背中を押す慈悲深きパワー/自由をつかみ、自分を生きたティナ[妹尾みえ]
★ その歌声の向こう側から/真摯で柔軟な歌への姿勢[菅波ひろみ]
★ リトル・アンのお気に入り/若きティナが親しんだゴスペル/ブルース/R&B[編集部]
★ 運命の出会い/アイク・ターナーとセントルイスR&Bの狂騒[編集部]
★ 最初の一歩/ティナの初録音[鈴木啓志]
★ 偶然のデビュー/アイク&ティナ[編集部]
★ アイクとティナのノーザン・ソウル [鈴木啓志]
★ “ロックンロール女王”の出発点/フィル・スペクターの狂気が生んだ〈リヴァー・ディープ〜マウンテン・ハイ〉[柴崎祐二]
★ 英国のR&B旋風に乗る/初の渡英が開いた未来への道[編集部]
★ ディープ・ソウル・ファン必聴シングル [新井崇嗣]
★ ロックの舞台へ本格参入/大きな転機となった1969年[編集部]
★ 回り続けたプラウド・メアリー/ティナが生涯歌い続けた代表曲[日向一輝]
★ ソウル・トゥ・ソウル 魂の詩/アイク&ティナ絶頂期のロック&ソウル・ムーヴィ[森田 創]
★ アイク&ティナ・ターナー映像ソフト選[森田 創]
★ アイク&ティナ来日公演回想/音楽ファンを圧倒した本場のソウル・レヴュー[鈴木啓志]
★ ティナ・ザ・ファンク・シスター/アイク&ティナのブラック・ファンク[濱田廣也]
★ アイク・ターナー・アルバム・ガイド[小出 斉]
★ ショーに欠かせぬ三人娘 アイケッツ/ダンスとコーラスでティナを助けたアイケッツ[編集部]
★ 新たな人脈が生んだ復活劇/『プライヴェート・ダンサー』大成功への道[山﨑智之]
★ 時代を揺さぶるアイコンに/スターたちとの共演で見せた新しい女性像[濱田廣也]
★ ティナ、クイーン・オブ・ザ……/サンダードームからスイスまで 異郷を踏破した女王について[丸屋九兵衛]
★ 歌とともにある人生/壮絶な半生を描いた映画『TINA ティナ』[杏レラト]
★ ティナ・ターナー映像ソフト選[森田 創]
★ お茶の間のティナ/歌謡界・芸能界にも及んだインパクト[森田 創]
★ 「ティナ」を演じ切る/最愛の人との出会いと安息の日々[濱田廣也]
★ アイク&ティナ・ターナー/ティナ・ターナー・ソロ・アルバム・ガイド[小出 斉/妹尾みえ/森田創/濱田廣也]
★ ティナ・ターナー略年表
 
【その他の主な記事】
● ドラン・ジョーンズ・インタヴュー[編集部]
● アラバマ・マイク・インタヴュー[井村 猛]
● EMILANDセカンド・アルバム『Roll』[濱田廣也]
● [新企画] 日々是好盤〜最近なに聴いてますか?[新井崇嗣/有賀竜裕/森島繁美/濱田廣也]
● スタックス・デモ音源集 『Written In Their Soul: The Stax Songwriter Demos』[中河伸俊]
● ジェイムズ・ブッカー秘蔵ライヴ音源『JAMES BOOKER: Behind The Iron curtain plus ...』[原田和典]
● ニーナ・シモン生誕90周年記念コレクション[濱田廣也]
● Philadelphia Soul with Brotherly Love フィリー・ソウルを探る連続企画 第3回「Motownphilly〜モータウンとフィラデルフィアの甘やかな関係」[林 剛]
● [新作アルバム・リヴュー]アイズリー・ブラザーズ/ベティ・ラヴェット/ジョン・クリアリー/ヘレン・スミス 他
 
【連載】
☆ [新連載] Soul Twine 私のソウル・グルーヴ・ギター探求[高地 明]
☆ 完全なる真空管/丸屋九兵衛
☆ 永井ホトケ隆 好評連載「Fool’s Paradise」第21回
☆ KEEP ON KEEPIN’ ON ソウル/ファンク名盤のメッセージを読む 第16回 『ロバータ・フラック/ファースト・テイク』/中田 亮
☆ SONS OF SOUL/林 剛
☆ ゴナ・ヒット・ザ・ハイウェイ〜西海岸と南部を結ぶ「I-10」沿道音楽巡り/日向一輝
☆ なんてったってインディ・ソウル 蔦木浩一×齋藤雅彦×編集部H
☆ リアル・ブルース方丈記/日暮泰文
☆ フード・フォー・リアル・ライフ 〜歌詞から見るブルース&ソウルの世界/中河伸俊
☆ 小出斉の勝手にライナーノーツ「IKE TURNER Presents THE FAMILY VIBES / Strange Fruit」
☆ 鈴木啓志のなるほど! ザ・レーベル VOL.102「Pompeii」
☆ ゴスペル・トレイン「ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピのリード・シンガー(5)」/佐々木秀俊+高橋 誠
☆ BLUES IS MY BUSINESS no.249/吾妻光良
☆ いづみやの曲追い酩酊談/佐々木健一
☆ 原田和典の魂ブチ抜き音楽
☆ 文聞堂書房〜古書掘りコラム/出田 圭
☆ ICHIのチタリン・サーキット最前線
☆ International Music Stroll〜世界の音楽にぷらりと出会おう/ワダマコト
☆ すべてこの世はブルースかも/辻昌志
☆ ニッポンの。国内アーティスト新譜紹介/妹尾みえ
☆ ブルース&ソウルが流れる店/轟美津子/加藤千穂
☆ Ain’t That Good News 国内ライヴ/イヴェント情報ほか


BSR誌 | 16:02:44 | コメント(0)
ジェイムズ・ブッカーの超絶CDセット発売
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すごいものが出てしまいました。ニューオーリンズの奇才ピアニスト、ジェイムズ・ブッカーの5枚組ライヴCDです。1976年から1977年にかけてのヨーロッパ・ツアー3公演をフル・セットで収録したものです。

1976年12月22日の東ベルリン公演、1977年1月27日のスイス・ローザンヌ公演、そして1977年10月29日のライプツィヒ公演です。ライプツィヒ公演については、1990年代にドイツ盤LP「Let’s Make A Better World」でリリースとなっていましたが、他の2公演は全くの初出。ライプツィヒ公演についてもLPでリリースされたのは全体の半分程度で、曲順も入れ替わっていました。今回初めてその公演の全貌が明らかになったわけです。

ブッカーは1983年に亡くなっていますが、1977年頃はまだ体調を崩す前の時期であり、いずれのライヴもソロの弾き語りながら、他の作品と比較しても生き生きとした演奏が展開されています。絶好調です。

時間にして実に5時間半!でも、全く飽きさせないのです。というのも、3公演は結構内容も違い、同じ曲であっても、例えば"On The Sunny Side Of The Street"などは、東ベルリンとライプツィヒでは単独のインストでやっているのに対し、ローザンヌではメドレーの中で歌入りでやっていたりと大きく表情が変わります。ブッカーの自由奔放さを感じ取ることができるのです。

そもそも、やっている曲自体かなり入れ替わっています。数えてみたところ、3公演で共通してやっているのは10曲程度。取り上げている曲数は全57曲にも及びます。東ベルリンではビートルズ・メドレーや"You Are My Sunshine"などが飛び出し、ローザンヌではTボーン・ウォーカーの"Stormy Monday"やファッツ・ドミノ風に"Blueberry Hill"もやっています。ライプツィヒ公演では"My Way"なんていうベタな曲をプレイしているのもある意味ブッカーらしいところ。これがまた涙がでるほど美しいんですよ。

曲のひとつひとつの表情がとても豊かで、思わず歓声を上げたくなる演奏なのです。

この時期のライヴ・アルバムは他にもありますが、これは音質もよく、間違いなくベストのひとつだと思います。

なぜこんなものが今になって出てきたのかというと、当時ブッカーのヨーロッパ公演をブッキングしたコンサート・プロモーターのドイツ人、ノーバート・ヘスが2021年に亡くなり、ベア・ファミリー・レーベルの創設者のリヒャルト・ヴァイツェが彼の遺品からこれらのテープを見つけたのだそうです。ヴァイツェは既にベア・ファミリーを退職していますが、この貴重な発見を埋もれさせることなく、Richard Weize Archivesという自分のレーベルからリリースしてくれたのですから、頭が下がります。素晴らしい!

このCDはLPサイズのハードカバーのブックレットに収納されています。このブックレットは60ページの力作。全ページカラーで、ヨーロッパ公演の写真やポスター、LPレコードのジャッケットやチケットなどの画像で彩られています。ページをめくるだけでワクワクです。本CDのプロデューサーでもあるヨハネス・ヴェヒター氏のライナーの情報量も特筆に値します。ブッカーのバイオはもちろん、ノーバート・ヘスがブッカーをヨーロッパに招聘した経緯から、ツアー中の様子など非常に事細かに記されています。

この公演があった頃は世界は冷戦真っ只中。旧共産圏諸国では西側の音楽は敵性文化として取り締まられるような時代。そんな時代にヘスはブッカーを東ドイツで公演させていたのです。しかし、東ドイツのお客さんもとても盛り上がっている様子が歓声や拍手から伝わってきます。ヨーロッパでブッカーはどこへ行っても大変な歓待を受けていたそうです。

1975年の初ヨーロッパ・ツアーはブッカーにとって初めての海外でもありました。そのツアーは3ヶ月半にも及んだそうです。当時のストーリーを記したこのブックレットを見ていると、ブッカーが元気だったこの時代にタイムスリップしたような気分になってきました。ブックレットにはこの他シリル・ネヴィルによるブッカーとの思い出を語った寄稿も含まれています。これも興味深い内容でした。

ちなみにブッカーをヨーロッパに呼んだノーバート・ヘスは身よりもなく、ベルリンのアパートで孤独に最期を迎えたそうです。そんな状況だったため、彼が長年収集した音楽に関する写真や貴重な品々の多くは誰にも引き取られることもなく処分されてしまったそうです。この音源が処分されなかったのは不幸中の幸いだとしみじみと思います。そう考えながら聴くとまた一段とブッカーの演奏が五臓六腑に染み渡るのですよ。

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James Booker / Behind The Iron Curtain plus…
(Richard Weize Archives RWA 11002)
発売日:2023年3月10日
5 CD set (EU盤)

[CD 1]
December 22, 1976
Haus der jungen Talente, East Berlin, German Democratic Republic
1. Classified
2. Slowly But Surely
3. One Helluva Nerve
4. A Taste Of Honey
5. Tico Tico
6. Let's Make A Better World
7. Please Send Me Someone To Love
8. Malagueña
9. Bei mir bist du schön
10. Jambalaya〜Baby Face
11. Goodnight Irene
12. Ain't Nobody's Business〜Trouble In Mind
13. Life
14. Tell Me How Do You Feel


[CD2]
December 22, 1976
Haus der jungen Talente, East Berlin, German Democratic Republic
1. I'll Be Seeing You
2. United Our Thing Will Stand
3. People Get Ready
4. Eleanor Rigby〜My Love〜Let It Be
5. On The Sunny Side Of The Street
6. Für Elise〜I've Had My Fun
7. All By Myself〜I'm In Love Again
8. Rockin' Pneumonia And The Boogie Woogie Flu
9. Come In My House
10. Goodnite, Sweetheart, Goodnite〜Let's Make A Better World
11. You Are My Sunshine〜Sixty Minute Man
12. Them That Got〜Old Folks At Home (Swanee River)〜My Bonnie

[CD3]
January 27, 1977
Radio Lausanne, Studio 8, Lausanne, Switzerland

1. Malagueña
2. Für Elise〜One Helluva Nerve
3. Classified
4. Let's Make A Better World
5. Come In My House
6. Blues Minuet
7. Pixie
8. Please Send Me Someone To Love
9. Bei mir bist du schön〜On The Sunny Side Of The Street
10. Slowly But Surely
11. A Fool For You
12. Blueberry Hill〜Let The Four Winds Blow
13. Tico Tico
14. Life
15. United Our Thing Will Stand
16. Goodnight Irene
17. Stormy Monday

[CD4]
October 29, 1977
Moritzbastei, Leipzig, German Democratic Republic

1. Life
2. Let's Make A Better World
3. Let Them Talk
4. A Taste Of Honey〜Goodnight Irene
5. Eleanor Rigby
6. On The Sunny Side Of The Street
7. Come In My House
8. Junco Partner
9. Save Your Love For Me
10. Something Stupid
11. Put Out The Light
12. One Helluva Nerve
13. My Way
14. Come Rain Or Come Shine
15. Iko Iko

[CD5]
October 29, 1977
Moritzbastei, Leipzig, German Democratic Republic

1. Baby Face
2. So Swell When You're Well
3. Lah Tee Tah
4. A Little Tune For Lefty
5. Since I Fell For You
6. Bei mir bis du schön
7. Black Night
8. Come In My House
9. He's Got The Whole World In His Hands
10. Let's Make A Better World (Reprise)
11. Slowly But Surely
12. People Get Ready
13. Blue Minute Waltz
14. Malagueña
15. United Our Thing Will Stand

booker booklet


ニューオーリンズ | 01:44:17 | コメント(0)
復活!Country Blues Heaven
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Country Blues Heavenが6年ぶりに開催されました。知る人ぞ知るディープなブルース・バー、江古田倶楽部が主催し2009年に初めて開催。以後不定期ながら2017年まで5回を数えています。江古田のBuddyが会場となっていましたが、2017年は豊橋に遠征しています。

江古田倶楽部でライヴをやってきたミュージシャンたちが集まり、その名の通りカントリー・ブルース展開するイベントです。渋いと言えば渋い。いや激渋です。

近年は江古田倶楽部のマスター、出原義史さんが体調を崩して入退院を繰り返していました。更に2020年以降コロナ禍に突入したことにより、Country Blues Heavenはおろか、お店もまともに営業はできない状況が続きました。そして2021年8月6日に出原さんが亡くなり、40年以上に渡る江古田倶楽部の歴史に幕が下ろされたのでした。

そんな状況でしたが、Country Blues Heavenは会場を横浜に移し、なんと6年ぶりに復活しました。出演者のひとりだったなにわのてつ(藤縄てつや)さんが数ヶ月前に「やろう」と言い出したのがきっかけだったそうです。出演したのはそのてつさんを含め、過去のCountry Blues Heavenでお馴染みの7名。

土曜日の16時、シンガーソングライターの垂水秀人さんのMCに続いて登場したのはROIKIさん。トークで笑いを取りつつも、のっけから相当ドロドロと濃いやつ来ました!お客さんも結構入っていて、弾き語りのライヴなのに熱気を感じます。まあ、猛暑のせいかもしれませんが、季節と雰囲気は合っていますね。


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ROIKI

続く菅原広巳さんは同じ弾き語りでもフォーキーで牧歌的な好対照なサウンド。出演者それぞれが個性を発揮したステージを見せてくれるので、飽きることがないです。ベア・ホーク・ウルフさんはタップダンスに加え、選曲もジャズ寄りなものを織り込み多彩でした。豊橋からやってきた銀次郎さんは豊橋での開催は主導的な役割を果たしたそうですが、関東でのBlues Heavenは初出演とのこと。レゾネーター・ギターでロバート・ジョンソンなどのブルースをプレイしました。

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菅原広巳

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銀次郎

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ベア・ホーク・ウルフ


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なにわのてつ

W.C.カラスさんは近年WILD CHILLUNでの活躍もあり、どブルースの印象は薄いですが、この日は渋ーくSMブルースからスタート。しかし終盤は軍手の煮浸しで前のめりになり、うどんやで泣いたでは客席大合唱に。大いに盛り上げてくれました。

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W.C.カラス

そして、彼のあとに出てトリを務めたのはコージー大内さん。めちゃくちゃカッコいいけど笑っちゃう。あのノリは彼しか出せない世界ですね。なにわのてつさんもウォッシュボードなどで共演し、盛り立てます。そうそう、コージーさんは今新作を作っているとのことで、新ネタも織り込んでいました。楽しみですね。

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コージー大内

そして最後は出演者全員戻ってきてコージーさんのMojo Workin’の替え歌からSweet Home Chicagoへ。賑やかにフィナーレとなりました。終演後時計を見たらなんと21時を回っていました。5時間に渡るイベント。楽しかったですねー。当初心配されたチケットの売れ行きも最終的には、ほぼソールドアウトに近い状態だったそうで、期待していた人は多かったんでしょうね。江古田から離れた会場ではありましたが、江古田倶楽部常連さんだった人も多く来場していました。

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フィナーレも盛り上がりました

てつさんの思いつきから始まったそうですが、来年以降もまたやってほしいですね。

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Country Blues Heaven in Yokohama 2023
横浜Thumbs Up
2023年7月22日(土)15:30開場 16:00開演
出演者:W.C.カラス / ROIKI / なにわのてつ / コージー大内 / 銀次郎 / ベア・ホーク・ウルフ / 菅原広巳
前売:3,500円 当日:4,000円


ブルース | 18:46:47 | コメント(0)