2023-03-31 Fri
デイヴィッド・リンドレーが3月3日、亡くなりました。78歳でした。死因や亡くなった場所などは発表されていませんが、家族によるとリンドレーは新型コロナの後遺症で体調を崩し腎臓病、肺炎、インフルエンザで度々入院していたとのこと。亡くなってから知りましたが、医療費を捻出するために、今年始めに彼の友人が募金サイトを立ち上げており、Tシャツを販売していました。
David Lindley Medical Fundraiser (Organized by Douglas Reynolds)
https://www.customink.com/fundraising/lindley-wellness-fund
若くはなかったとは言え、突然の訃報に言葉がありません。ボーダーレスな彼の音楽の世界観は独特で、他の何者にも代えがたいものでした。ライ・クーダーやタジ・マハールなどと比較されることも多いですが、彼らとは一線を画す、いい意味でのへんちくりんなところが大好きでした。学者っぽい生真面目さを見せるライとはある意味対照的な遊び心が彼の音楽には常にありました。
ライもタジもまだ元気で活躍する中に届いた訃報。本当に残念としか言いようがありません。
リンドレーと言えば、まずはジャクソン・ブラウンのバンドの黄金期を支えたことが有名ですが、僕は多分それよりも先に彼のソロ作を聴いてその存在を知ったと思います。彼がジャクソン・ブラウンのバンドから抜けてリリースした1981年のファースト・アルバム「EL RAYO-X」を当時偶然ラジオで耳にしました。出た当時、レコードは買わなかったのですが、日本ではこのアルバムは「化けもの」という邦題がつき、本当にバケモノ然と立つリンドレーの姿をあしらったジャケットのインパクトもあって、妙に記憶に残りました。この邦題は本人が命名したものだといいます。
その後、ハニ・ナッサーやウォリー・イングラムとのデュオ、ライ・クーダーとの来日などで何度か見る機会がありました。ステージではギターだけでなく、ワイゼンボーン、フィドル、ギリシャの弦楽器のブズーキなどなどあらゆる弦楽器を弾いていたのも特筆すべきでしょう。
アメリカン・ルーツに留まらず、カリプソ、レゲエ、沖縄音楽と彼の音楽は広がりを見せました。ヘンリー・カイザーとの共作ではマダガスカル、ノルウェーで現地のミュージシャンとの共演を展開したのも印象的でした。
若くはなかったとは言え、突然の訃報に言葉がありません。ボーダーレスな彼の音楽の世界観は独特で、他の何者にも代えがたいものでした。ライ・クーダーやタジ・マハールなどと比較されることも多いですが、彼らとは一線を画す、いい意味でのへんちくりんなところが大好きでした。学者っぽい生真面目さを見せるライとはある意味対照的な遊び心が彼の音楽には常にありました。
ライもタジもまだ元気で活躍する中に届いた訃報。本当に残念としか言いようがありません。
リンドレーと言えば、まずはジャクソン・ブラウンのバンドの黄金期を支えたことが有名ですが、僕は多分それよりも先に彼のソロ作を聴いてその存在を知ったと思います。彼がジャクソン・ブラウンのバンドから抜けてリリースした1981年のファースト・アルバム「EL RAYO-X」を当時偶然ラジオで耳にしました。出た当時、レコードは買わなかったのですが、日本ではこのアルバムは「化けもの」という邦題がつき、本当にバケモノ然と立つリンドレーの姿をあしらったジャケットのインパクトもあって、妙に記憶に残りました。この邦題は本人が命名したものだといいます。
その後、ハニ・ナッサーやウォリー・イングラムとのデュオ、ライ・クーダーとの来日などで何度か見る機会がありました。ステージではギターだけでなく、ワイゼンボーン、フィドル、ギリシャの弦楽器のブズーキなどなどあらゆる弦楽器を弾いていたのも特筆すべきでしょう。
アメリカン・ルーツに留まらず、カリプソ、レゲエ、沖縄音楽と彼の音楽は広がりを見せました。ヘンリー・カイザーとの共作ではマダガスカル、ノルウェーで現地のミュージシャンとの共演を展開したのも印象的でした。
1990年代以降は既存のレコード会社から背を向け、自主制作で作品を出し続けたのも彼を特徴づける行動だったのかなと思います。レコード会社から出すと、殆ど身入りがないとインタビューで語っていたのを思い出します。
暫く来日が途切れていましたが、またコロナが終息したら来てくれるだろうと思っていたのですが。最後の来日は2005年でしょうか。
リンドレーの作品で好きなものは色々と思いつきますが、やはりまずはこれでしょうね。
Mercury Blues (from El Rayo-X)
ジャクソン・ブラウンの作品でのプレイはこれかな。
Jackson Browne - Farther On (from Late for the Sky)
安らかにお休みください。RIP。
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2023-03-23 Thu
3月15日(水)、ちょっと都内から遠征して横浜・日ノ出町まで、チャールズ清水さんのソロ・ライブを見に出かけました。
チャールズさんは暫く音楽活動はあまりされていなかったそうですが、つい先日、1978年のライヴLP「Minor Blues」がボーナス・ディスク付で初CD化され、それにあわせて今回地元のバーでギグが企画されたのです。
会場の試聴室その3は初めて行くところでしたが、思ったより広々としたお店で、バーというよりはちょっとしたダイナーのような雰囲気も漂う空間。お客さんはたくさん来ていましたが、ゆったり見ることができました。
チャールズさんは暫く音楽活動はあまりされていなかったそうですが、つい先日、1978年のライヴLP「Minor Blues」がボーナス・ディスク付で初CD化され、それにあわせて今回地元のバーでギグが企画されたのです。
会場の試聴室その3は初めて行くところでしたが、思ったより広々としたお店で、バーというよりはちょっとしたダイナーのような雰囲気も漂う空間。お客さんはたくさん来ていましたが、ゆったり見ることができました。
ちょっと出遅れ、お店に着いたときにはもう演奏が始まっていました。チャールズさんはひとりアップライトに向かい弾き語りをしています。いい雰囲気。過去にチャールズさんを見たことが3回ほどあるのですが、前回は20年以上前です。主役としてのライヴを見るのは初めてでした。
前半は日本語のオリジナルが中心で、「Minor Blues」収録曲から、温めていた新曲まで色々とやってくれました。ブルース・フィーリング溢れるピアノを弾きつつ、歌や語りはユーモアにあふれ、シンガーソングライター的なおもむきも感じました。ちょっとランディ・ニューマンぽいかも。個人的には結構ツボです。
この日は完全にソロで通すのかと思いきや、休憩を挟んだ2部では冒頭から藤井康一さん(sax, vo, harmonica)が入り、デュオでフル・セットをやりました。ドクター・ジョンの"Such A Night"から始まり、スマイリー・ルイズの"I Hear You Knockin’"やトム・ウェイツの"Ol’ 55"などカバーも多く飛び出し、盛り上がりました。藤井さんもヴォーカルを取り、やった曲は十八番の"On the Sunny Side of the Street”。これも嬉しかったですね。
そしてTボーン・ウォーカーの"I’m Still In Love With You"をしっとりと歌い、"Somewhere Over The Rainbow"へ続け、余韻を残して終演となりました。
終演後、先日出たチャールズさんのファーストのCDも買うことができました。サインもいただきました。
今、このCD、個人的にヘヴィ・ローテーションです。すごくいい。ブルース・ピアニストという枠では語れない、独自のカラーがあって引き込まれます。
4月2日には、高円寺のジロキチでもレコ発ライヴが予定されています。こちらは、バンド・スタイルなのでまた違った展開が期待できそうです。メンバーはBLUE HEAVEN時代のバンド・メイトの吾妻光良(gt.)と永井"ホトケ"隆(vo.)、「Minor Blues」にも参加したウェストロード・ブルース・バンドでもお馴染みの松本照夫(ds.)、Sooo Baad Revueの永本忠(b.)という旧知のメンツが揃います。
終演後、先日出たチャールズさんのファーストのCDも買うことができました。サインもいただきました。
今、このCD、個人的にヘヴィ・ローテーションです。すごくいい。ブルース・ピアニストという枠では語れない、独自のカラーがあって引き込まれます。
4月2日には、高円寺のジロキチでもレコ発ライヴが予定されています。こちらは、バンド・スタイルなのでまた違った展開が期待できそうです。メンバーはBLUE HEAVEN時代のバンド・メイトの吾妻光良(gt.)と永井"ホトケ"隆(vo.)、「Minor Blues」にも参加したウェストロード・ブルース・バンドでもお馴染みの松本照夫(ds.)、Sooo Baad Revueの永本忠(b.)という旧知のメンツが揃います。
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Charles Shimizu presents…Minor Blues & Major Dues 発売記念ライブ
2023年4月2日(日)Open 18:30 Start 19:30
高円寺JIROKICHI
予約(♪3500)当日(♪4000)
チャールズ清水pf,vo 吾妻光良vo.g 永本忠b 松本照夫dr 永井ホトケ隆vo
高円寺JIROKICHI
予約(♪3500)当日(♪4000)
チャールズ清水pf,vo 吾妻光良vo.g 永本忠b 松本照夫dr 永井ホトケ隆vo
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チャールズさんは今スタジオ・アルバムも制作中だそうで、そちらも期待したいです。
2023-03-22 Wed
来たる3月25日にこんなイベントをやります。
元々翻訳家の森田義信さんと僕でお互いの本の発行を記念してトークでもやりましょうかという緩い企画だったのですが、なんと急遽ニューオーリンズから帰国中の山岸潤史さんが参加してくれることとなりました。
ということで、山岸さんを主賓に迎えて、あれこれと語りつつ、音楽をかけていきたいと思っております。コロナ流行後のニューオーリンズの様子なども山岸さんから聞くつもりです。
あと、ヒューイ伝にも書かれていますが、山岸さんはヒューイと一度リハーサルで共演したことがあり、そのときのこともぜひぜひご本人から聞きたいです。
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2023年3月25日(土) 19:00開場 20:00開演
三鷹・南風酒場バイユーゲイト
http://bayougate.voxx.jp/
『ヒューイ・”ピアノ"・スミス伝』&『ハイ・フィディリティ新装版』出版記念
陶守正寛×森田義信 DJ&トークショー
Special Guest:山岸潤史(from New Orleans)
料金:1,000円
楽しい音楽をかけながら本を語る、ニューオーリンズを語る...本の販売もします
http://bayougate.voxx.jp/
『ヒューイ・”ピアノ"・スミス伝』&『ハイ・フィディリティ新装版』出版記念
陶守正寛×森田義信 DJ&トークショー
Special Guest:山岸潤史(from New Orleans)
料金:1,000円
楽しい音楽をかけながら本を語る、ニューオーリンズを語る...本の販売もします
2023-03-19 Sun
いまさらというくらい遅くなりましたが、2022年に出た新譜の個人的なベスト10です。
2022年は特に後半、ヒューイ・スミスの本の準備作業に没頭していたこともあり新譜はさほど多く聴かなかったように思います。その代わりヒューイ周辺の音は徹底的に聴きましたけど(笑)。
そんな中、特に印象に残った新譜10選です。順不同です。
2022年は特に後半、ヒューイ・スミスの本の準備作業に没頭していたこともあり新譜はさほど多く聴かなかったように思います。その代わりヒューイ周辺の音は徹底的に聴きましたけど(笑)。
そんな中、特に印象に残った新譜10選です。順不同です。
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Tommy McLain / I Ran Down Every Dream (MSI MSIG 1504)
2022年、一番インパクトがあったのはこれでした。前作から40年以上、齢80を超えたトミー・マクレインの新譜が出るとは予想していなかったので、びっくり。しかも年齢を感じさせせないみずみずしさと、年齢を重ねたからこその奥深さを兼ね備えた内容にはやられました。エルヴィス・コステロなどの参加によって、かなり注目されましたが、それを抜きにしても十分聴く価値のある作品だと思います。スワンプポップというジャンルをメジャーに持ち上げた功績も大きいです。
2022年、一番インパクトがあったのはこれでした。前作から40年以上、齢80を超えたトミー・マクレインの新譜が出るとは予想していなかったので、びっくり。しかも年齢を感じさせせないみずみずしさと、年齢を重ねたからこその奥深さを兼ね備えた内容にはやられました。エルヴィス・コステロなどの参加によって、かなり注目されましたが、それを抜きにしても十分聴く価値のある作品だと思います。スワンプポップというジャンルをメジャーに持ち上げた功績も大きいです。

Edgar Winter / Brother Johnny (Quarto Valley QVR 0149)
ジョニー・ウィンターが亡くなってから8年。生前も度々共演をしていた弟のエドガーが正面からジョニーの作品に取り組んだトリビュートです。いかにもありそうな企画ではありますが、参加ミュージシャンも含め、ジョニーへの愛情が溢れる内容で聴いていてうるるっときました。また、アルバムにはエドガー自身がこのアルバム制作にいたった過程を丁寧に書き連ねたブックレットがついており、当初このような企画は今一つ乗り気になれなかったことなどが綴られています。ただのカバー集ではない情熱が感じられる作品です。真正面に彼がジョニーの曲をやると、やはり兄弟。一瞬ジョニーが蘇ったかのような錯覚にもみまわれました。

Wild Chillun / 浮浪 (P-Vine PCD-27064)
W.C.カラスのワイチルのPヴァインからの二作目。バリバリにロックしていた前作よりも肩の力が抜けた自然体なサウンドに聞こえます。カラスのオリジナル曲も彼の独特の世界観があって面白く、そしてかっこいいです。

Diunna Greenleaf / I Ain’t Playin’ (Little Village Foundation LVF 1045)
ブルースの新譜としては、2022年の作品としてはピカいちだったように思います。ゴスペル、ソウル色が程よくブレンドされたサウンドでダイユーナの存在感のあるヴォーカルはパワフルかつしなやかさもあって、すっと耳に馴染みました。ジェリー・ジェモットをはじめとする参加メンバーの豪華さと安定感も特筆に値します。

Dr. John / Things Happen That Way (Concord 7242743)
2019年に亡くなったドクター・ジョンが生前に完成させていたラスト・アルバム。ドクターが亡くなってから、遺族主導で一部手直しがされたため、発売までに3年を要しています。近年の彼の作品と比べると尖がったところはないですが、しみじみと染み入る味わい深い作品だと思います。ただ、丸々バックのバンドが差し替えられたWalk On Guilded Splintersついては、違和感こそないもののそこまでする必要性があったのかは疑問が残ります。

Keb’ Mo’ / Good To Be… (Rounder 1166101542)
この人は本当に好きです。いい曲書きますよね。派手さは何もないですが、癒しの音楽というか、聴けば聴くほど愛着の沸く作品です。アクースティック・ギターの響きがいいんですよね。ビル・ウィザーズのカヴァーLean On Meも素晴らしい出来です。

The Bigood! - #Swing Jug (No label, no number)
前作から随分時間がかかりましたが、待った甲斐のある作品です。相変わらず弾けんばかりの楽しさ。ライヴで聴いていたレパートリーも入っていてまたライヴが見たくなりますね。

Buddy Guy - Blues Don’t Lie (Sony Music/Silvertone SICP 6492)
86歳にしてこの元気さは凄いを通り越して異常ではないでしょうか。1990年代以降の彼の作品はマンネリ感もあって個人的には食傷気味なときもありましたが、これは痛快な出来栄えです。弾きまくるギターもテンションは落ちていません。

藤井"ヤクハチ"康一 - Ukulele Jive vol. 2 (House of Jive HOJ-UJ-2202)
ヒューイ伝出版記念イベントでも演奏してくれた藤井さん。ウクレレ・アルバム第二弾はニューオーリンズ編。アラン・トゥーサンの美しいバラードWith You In Mindやアート・ネヴィルの初期の名曲Zing Zingなどニューオーリンズ好きならくすぐられる選曲。藤井さんオリジナルのBon Temps Roule, New Orleans!の再演もイントロでミーターズ・ネタが入っていたるところが面白い。芸人魂いっぱいの藤井さんの快作です。

Stan Mosley / No Soul No Blues (P-Vine PCD-25354)
ダイヤルトーンのエディ・スタウトと日暮さん、高地さんの入魂の新譜。ちょっと力みすぎている感もありますが、聴き応えのある現在進行形のブルース&ソウル作でした。