追悼、Guitar Shorty
Guitar Shorty at 1999 Long Beach Blues Fetival
Guitar Shorty
at Long Beach Blues Festival, 1999
(c)Masahiro Sumori. All rights reserved.

ステージで宙返りをしながらプレイするパフォーマンスでも知られ、あのジミ・ヘンドリクスにも影響を与えたと言われるブルース・ギタリスト、シンガーのギター・ショーティーが4月20日、ロサンゼルスで亡くなったそうです。彼の元所属レーベルのアリゲーター・レコードが4月21日にリリース文で発表しました。詳細は不明ですが、自然死とのことです。これまで彼は1939年生まれとされた資料が多かったのですが、アリゲーターのリリース文では1934年生まれとなっています。ということは87歳だったということになります。

本名デイヴィッド・ウィリアム・カーニー (David William Kearney)。ヒューストンで生まれました(フロリダ生まれという説もあるようですが)。幼少期をフロリダで過ごし、17歳でウォルター・ジョンソンのオーケストラに加入。1957年にウィリー・ディクソンに見いだされて名門コブラ・レコードからデビューを果たします。その後オーティス・ラッシュ、ギター・スリム、レイ・チャールズといった人たちとツアーに出るようになりました。この頃、ショーティーは拠点をロサンゼルスに移します。1959年にはロサンゼルスの零細レーベル、プル(Pull)に6曲をレコーディング。その中には彼の代表曲のひとつとなったマイナー・ブルース”Hard Life”がありました。


1960年代に入ると、シアトルやヴァンクーヴァーに移住。この頃ジミ・ヘンドリクスの義理の妹、マーシャと出会い結婚しています。この縁でジミとも親交を深めるようになりました。1960年代初頭の話なので、まだジミがスターになる何年も前の話。恐らくまだ彼が10代だった頃ではないでしょうか。ショーティーによると、ジミがギターを燃やすパフォーマンスをするようになったのは、ショーティーのように宙返りができなかったからだそう。真相はわからないですが、ショーティーの存在がジミのステージ・パフォーマンスに少なからず影響を与えたのは確かでしょう。

ショーティーはジミをブラザーと呼び、彼のレパートリーだった”Hey Joe”をライヴでも演奏していました。


ショーティーは1970年にマーシャと離婚。同年ジミも他界し、その後再びロサンゼルスに戻りました。しかし、彼はその後はレコード契約には恵まれず機械工として食いつなぎながら、地道に音楽活動も続けていたようです。彼の自己名義の作品は1985年まで待たねばなりませんでした。ショーティーのマネージャーが興したレーベル、オリーヴ・ブランチから、この年、名刺代わりとも言える一曲”They Call Me Guitar Shorty”をシングル・リリース。1989年には同レーベルから「On The Rampage」でアルバム・デビューも果たしました。

1990年代に入ると英国ツアーの話が舞い込み、これを機に1991年、英国のブルース・レーベルJSPからアルバム「My Way On The Highway」をリリース。この作品で彼の存在が初めて広く知られるようになったと言っていいと思います。

そして彼の存在感を決定づけることになったのがそれに続くブラックトップ・レーベルからの1990年代の3枚のアルバム(「Topsy Turvy」、「Get Wise To Yourself」、「Roll Over, Baby」)でした。いずれもニューオーリンズ勢を中心とした達人ミュージシャンたちがバックをつけた丁寧な仕上がりで、元気なギター・プレイはもちろん、ソウルフルな歌声など、ショーティーの魅力を余すところなく伝える快作となっています。

1999年にはスモーキー・ウィルソンとのジョイントという形で初来日。東京六本木のSweet Basilにて公演を行いました。2003年にも再度来日しています。
1999年来日情報 http://bluesginza.web.fc2.com/news/smokey_shorty.html
2003年来日情報 http://bluesginza.web.fc2.com/news/yob.html

2000年以降もエヴィデンス・ミュージック、アリゲーターとレーベルを変えて作品を出し続けました。最後の作品となったのは2019年リリースの「Trying To Find My Way Back」(Essential Music)。プロデュースにはスワンプドッグが関わっています。



歳を取ってからも比較的最近までちょくちょく活動が伝わって来ていたショーティー。以前ライヴ会場でサインをもらいましたが、非常に人当たりのいい人だったのを覚えています。RIP。

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ブルース | 18:00:00 | コメント(0)