2023-07-12 Wed
松尾潔さんと山下達郎さんの一件、大きな論争になっていますね。僕のSNS周辺には山下さんのファンも多いようで、今回の件を辛い思いで見ている人も少なくないでしょう。
僕は山下さん、松尾さんいずれもファンでも知り合いでもなく、特にどちらかに肩入れする理由はありません。(松尾さんは、僕がブラック・ミュージック・リヴュー[bmr]に書き始めた90年代、同誌で連載をされていて文章を読んだことはありますが、交流はなかったです。)なので、この一件については冷静な第三者的な視点で見ることができるのではと思っています。
事の発端となった5月15日のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』における松尾さんのジャニーズ事務所に関するコメント、山下さんのマネジメント会社スマイルカンパニー(SC)との契約終了を報告した7月1日のツイートとSC社長によるリリース文、松尾さんの日刊ゲンダイでのその詳細経緯説明、そしてそれを受けての山下さんの7月9日サンデー・ソングブックでのコメント、ひと通り目を通しました(それぞれの内容を記載したページを末尾に載せました)。性加害問題に対する松尾さんのコメントには共感を覚えつつ、率直に言って松尾さん、山下さん、僕には「どっちもどっち」と映りました。
RKBラジオでの松尾さんの発言はジャニーズ批判というよりは、「今後のためにもジャニーズ、そして音楽業界はしっかりこれを機に対応するべき」との前向きな意見と理解しました。現状ジャニーズ事務所の対応が不十分であるということは言っているものの、BBCの番組や性被害告発者側の主張を鵜呑みにしてジャニーズ側を非難するような一方的な立場は取っていません。
そして、契約終了の件について。「私がメディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です」としているツイートを見た時点では、松尾さんが理由を推測しているのかなとも思いましたが、日刊ゲンダイの記事を見るとそうではないことがわかります。彼のRKBラジオでの発言がニュースになった2日後にSC社長に呼び出され、ジャニーズの名前をメディアで口にしたことを理由に中途解約を切り出されたとのこと。後日SC社長が確認を取ったところ山下さんも賛成したという内容です。文面からは、山下さんに対して非常に気を遣い、直接的な批判を避けているのが感じられました。これまで良好な関係だった彼との関係を決定的に破壊するのは避けたかったのではないかと推測します。
しかし、僕はここに引っ掛かりました。ならば、なぜ7月1日のツイートで山下さんをわざわざ引き合いに出して契約終了を公に報告したのだろうと。そして、経緯をこと細かに明らかにする前になぜ山下さんと直接話さなかったのだろうと、モヤモヤっとしたものを感じずにはいられませんでした。日刊ゲンダイの記事で松尾さんは「メールを含む(山下)夫妻への直接の連絡は一切控えた」、「達郎さんに直接コンタクトを取るのはやはりためらわれた」としています。つまり連絡しようと思えばできたのにあえてしなかったということです。
SC社長への気遣いや何らかの内部の取り決めがあったのは想像に難くないです。でも、直接山下さんと話もしないまま、ここまで書くのはどうなんだろう?と思わずにはいられませんでした。結局松尾、山下両氏とも本件の重要な部分で間に第三者が入っているために、ボタンの掛け違いが発生している印象を持ちました。
今回の穏やかでない状況からすれば、松尾さんから山下さんへの連絡は実際には取りにくい状況だったのかも知れません。仮にそうだったとしても、松尾さんは詳細を明らかにする前に山下さんへの連絡を試みるべきだったと思うし、結果的に連絡がつかなかったのであればその経緯も説明した上で、前述記事を書けばよかったと思います。そんなことをしたら、山下さんに喧嘩を売ることになると考えたのでしょうか?しかし、ある意味7月1日のツイートで松尾さんはその道への一歩を既に踏み出してしまったのだと僕は思います。あのツイートをした時点で、最悪の場合山下さんと一戦を交える覚悟もなかったのかと驚いてしまいます。ジャニーズに関する松尾さんの発言については全くその通りだと僕も思うし非常に立派ですが、自身の契約終了の話となると中途半端だと感じます。一戦を交える覚悟がないのなら、不満は仕舞いこんでそっと退場すればよかったのではないでしょうか? 逆に案外直接話していれば、こんなことにはならず円満な関係を続けられたかも知れません。人間関係は意外とそんなものです。
そして山下さん側については、彼自身の発言はものの見事悪い意味で思った通りでした。基本的には性加害の問題も松尾氏の契約終了の問題も他人事のようで、まるで説明の体をなしていないと感じました。自ら誘った松尾氏の契約を終了する場に出てこなかった人なので、「サンデー・ソングブック内にて、山下達郎本人より大切なご報告がございます。」と事前に発表した上で語ったのは、思ったよりはしっかり対応していたと言えなくもありません。しかし、その内容が酷すぎました。
今回のジャニー喜多川氏の性加害問題について「作品に罪はありません」と作品を切り離して考える意思を示しつつ、山下さんの姿勢に批判的な人に対しては「きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」と明らかに矛盾すること言ったことにそれは端的に表れていると思います。これは今心を痛めている彼のファンへの挑発に等しいし、彼らに対して微塵も敬意がないことを示しています。だって「俺の態度が嫌なら聴くなよ」そういうことでしょ?
山下さんがジャニーズ事務所に対して恩義を感じていることはわかりますが、今回彼の発言に耳を傾けた人たちはそんなことが聞きたかったわけではないでしょう。今回のコメントが松尾さんの契約終了に関する一件を受けてのものである以上、まずきちんと説明しなければならないのは、その点です。これについては:
「松尾氏が憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因となったことは認めるものの、理由は決してそれだけではない」
との説明でした。彼が言う「憶測に基づく一方的な批判」が具体的に何を指すのかは語っていません。僕が見る限り松尾さんは慎重に言葉を選んでおり、ジャニー喜多川氏を非難することすらしていません。「憶測に基づく一方的な批判」などしていないと思います。
そして「理由は決してそれだけではない」に関しては、含みを持たせただけでこれ以上何も言っていません。松尾さんは「ジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由」と明言しているのですから、それ以外の理由があるのであれば、そのような勿体ぶった言い方をすべきではないでしょう。受け手の想像で松尾さんを悪者に仕立て上げようとする悪意を感じてしまうのは僕だけでしょうか?
山下さんがジャニー喜多川氏の性加害を知らなかったというのは恐らくそうなんでしょう。そう明らかにした上で山下さんはこうコメントしています。「性加害が本当にあったとしたら、それはもちろん許しがたいことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます。」これは基本的に松尾さんの言われていたことと同じではないでしょうか。本当にそう思っているのなら、なぜ松尾さんの契約終了に賛成なのか、ますます「それだけではない」部分を説明しなければ筋が通りませんよね。一番肝心なところを煙に巻いたままの説明でしかありませんでした。
性加害を擁護しているのではなく、アイドルたちに敬意を持って接したいだけなのだということですが、そのアイドルたちの一部が被害者として声を上げ始めている事実は無視でしょうか?それが果たして敬意をもって接していることになるのでしょうか?
今の世の中は黙っていると嘘が拡散してしまうので、山下さんも説明しておく必要性を感じたとのことでした。しかし、彼の今回のコメントは正しい理解を深める説明になったのでしょうか?僕には到底そうは思えません。
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【情報源】
5/15/2023『田畑竜介 Grooooow Up』における松尾潔氏のジャニーズに関するコメント(文字お越し)
https://rkb.jp/contents/202305/167325/
松尾潔氏の7/1/2023契約終了に関するツイート
https://twitter.com/kiyoshimatsuo/status/1675045489748873216
スマイルカンパニー小杉社長のリリース文(7/5/2023)
https://smile-co.jp/info/20230705.html
松尾潔氏、契約終了に関する詳細経緯説明(日刊ゲンダイ)(7/6/2023)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/325603
山下達郎氏、7/9/2023サンデー・ソングブックでのコメント(文字お越し)
https://www.oricon.co.jp/news/2286351/full/
僕は山下さん、松尾さんいずれもファンでも知り合いでもなく、特にどちらかに肩入れする理由はありません。(松尾さんは、僕がブラック・ミュージック・リヴュー[bmr]に書き始めた90年代、同誌で連載をされていて文章を読んだことはありますが、交流はなかったです。)なので、この一件については冷静な第三者的な視点で見ることができるのではと思っています。
事の発端となった5月15日のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』における松尾さんのジャニーズ事務所に関するコメント、山下さんのマネジメント会社スマイルカンパニー(SC)との契約終了を報告した7月1日のツイートとSC社長によるリリース文、松尾さんの日刊ゲンダイでのその詳細経緯説明、そしてそれを受けての山下さんの7月9日サンデー・ソングブックでのコメント、ひと通り目を通しました(それぞれの内容を記載したページを末尾に載せました)。性加害問題に対する松尾さんのコメントには共感を覚えつつ、率直に言って松尾さん、山下さん、僕には「どっちもどっち」と映りました。
RKBラジオでの松尾さんの発言はジャニーズ批判というよりは、「今後のためにもジャニーズ、そして音楽業界はしっかりこれを機に対応するべき」との前向きな意見と理解しました。現状ジャニーズ事務所の対応が不十分であるということは言っているものの、BBCの番組や性被害告発者側の主張を鵜呑みにしてジャニーズ側を非難するような一方的な立場は取っていません。
そして、契約終了の件について。「私がメディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です」としているツイートを見た時点では、松尾さんが理由を推測しているのかなとも思いましたが、日刊ゲンダイの記事を見るとそうではないことがわかります。彼のRKBラジオでの発言がニュースになった2日後にSC社長に呼び出され、ジャニーズの名前をメディアで口にしたことを理由に中途解約を切り出されたとのこと。後日SC社長が確認を取ったところ山下さんも賛成したという内容です。文面からは、山下さんに対して非常に気を遣い、直接的な批判を避けているのが感じられました。これまで良好な関係だった彼との関係を決定的に破壊するのは避けたかったのではないかと推測します。
しかし、僕はここに引っ掛かりました。ならば、なぜ7月1日のツイートで山下さんをわざわざ引き合いに出して契約終了を公に報告したのだろうと。そして、経緯をこと細かに明らかにする前になぜ山下さんと直接話さなかったのだろうと、モヤモヤっとしたものを感じずにはいられませんでした。日刊ゲンダイの記事で松尾さんは「メールを含む(山下)夫妻への直接の連絡は一切控えた」、「達郎さんに直接コンタクトを取るのはやはりためらわれた」としています。つまり連絡しようと思えばできたのにあえてしなかったということです。
SC社長への気遣いや何らかの内部の取り決めがあったのは想像に難くないです。でも、直接山下さんと話もしないまま、ここまで書くのはどうなんだろう?と思わずにはいられませんでした。結局松尾、山下両氏とも本件の重要な部分で間に第三者が入っているために、ボタンの掛け違いが発生している印象を持ちました。
今回の穏やかでない状況からすれば、松尾さんから山下さんへの連絡は実際には取りにくい状況だったのかも知れません。仮にそうだったとしても、松尾さんは詳細を明らかにする前に山下さんへの連絡を試みるべきだったと思うし、結果的に連絡がつかなかったのであればその経緯も説明した上で、前述記事を書けばよかったと思います。そんなことをしたら、山下さんに喧嘩を売ることになると考えたのでしょうか?しかし、ある意味7月1日のツイートで松尾さんはその道への一歩を既に踏み出してしまったのだと僕は思います。あのツイートをした時点で、最悪の場合山下さんと一戦を交える覚悟もなかったのかと驚いてしまいます。ジャニーズに関する松尾さんの発言については全くその通りだと僕も思うし非常に立派ですが、自身の契約終了の話となると中途半端だと感じます。一戦を交える覚悟がないのなら、不満は仕舞いこんでそっと退場すればよかったのではないでしょうか? 逆に案外直接話していれば、こんなことにはならず円満な関係を続けられたかも知れません。人間関係は意外とそんなものです。
そして山下さん側については、彼自身の発言はものの見事悪い意味で思った通りでした。基本的には性加害の問題も松尾氏の契約終了の問題も他人事のようで、まるで説明の体をなしていないと感じました。自ら誘った松尾氏の契約を終了する場に出てこなかった人なので、「サンデー・ソングブック内にて、山下達郎本人より大切なご報告がございます。」と事前に発表した上で語ったのは、思ったよりはしっかり対応していたと言えなくもありません。しかし、その内容が酷すぎました。
今回のジャニー喜多川氏の性加害問題について「作品に罪はありません」と作品を切り離して考える意思を示しつつ、山下さんの姿勢に批判的な人に対しては「きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」と明らかに矛盾すること言ったことにそれは端的に表れていると思います。これは今心を痛めている彼のファンへの挑発に等しいし、彼らに対して微塵も敬意がないことを示しています。だって「俺の態度が嫌なら聴くなよ」そういうことでしょ?
山下さんがジャニーズ事務所に対して恩義を感じていることはわかりますが、今回彼の発言に耳を傾けた人たちはそんなことが聞きたかったわけではないでしょう。今回のコメントが松尾さんの契約終了に関する一件を受けてのものである以上、まずきちんと説明しなければならないのは、その点です。これについては:
「松尾氏が憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因となったことは認めるものの、理由は決してそれだけではない」
との説明でした。彼が言う「憶測に基づく一方的な批判」が具体的に何を指すのかは語っていません。僕が見る限り松尾さんは慎重に言葉を選んでおり、ジャニー喜多川氏を非難することすらしていません。「憶測に基づく一方的な批判」などしていないと思います。
そして「理由は決してそれだけではない」に関しては、含みを持たせただけでこれ以上何も言っていません。松尾さんは「ジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由」と明言しているのですから、それ以外の理由があるのであれば、そのような勿体ぶった言い方をすべきではないでしょう。受け手の想像で松尾さんを悪者に仕立て上げようとする悪意を感じてしまうのは僕だけでしょうか?
山下さんがジャニー喜多川氏の性加害を知らなかったというのは恐らくそうなんでしょう。そう明らかにした上で山下さんはこうコメントしています。「性加害が本当にあったとしたら、それはもちろん許しがたいことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます。」これは基本的に松尾さんの言われていたことと同じではないでしょうか。本当にそう思っているのなら、なぜ松尾さんの契約終了に賛成なのか、ますます「それだけではない」部分を説明しなければ筋が通りませんよね。一番肝心なところを煙に巻いたままの説明でしかありませんでした。
性加害を擁護しているのではなく、アイドルたちに敬意を持って接したいだけなのだということですが、そのアイドルたちの一部が被害者として声を上げ始めている事実は無視でしょうか?それが果たして敬意をもって接していることになるのでしょうか?
今の世の中は黙っていると嘘が拡散してしまうので、山下さんも説明しておく必要性を感じたとのことでした。しかし、彼の今回のコメントは正しい理解を深める説明になったのでしょうか?僕には到底そうは思えません。
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【情報源】
5/15/2023『田畑竜介 Grooooow Up』における松尾潔氏のジャニーズに関するコメント(文字お越し)
https://rkb.jp/contents/202305/167325/
松尾潔氏の7/1/2023契約終了に関するツイート
https://twitter.com/kiyoshimatsuo/status/1675045489748873216
スマイルカンパニー小杉社長のリリース文(7/5/2023)
https://smile-co.jp/info/20230705.html
松尾潔氏、契約終了に関する詳細経緯説明(日刊ゲンダイ)(7/6/2023)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/325603
山下達郎氏、7/9/2023サンデー・ソングブックでのコメント(文字お越し)
https://www.oricon.co.jp/news/2286351/full/
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2023-06-22 Thu
いよいよ中野サンプラザが7月2日閉館になるということで残念がる人も多いみたい。
僕もサンプラザには色々見に行ったけど、さほど特別な思いはないんですよね。山手線から外れているロケーションが面倒で、渋谷公開堂公演などもあればそっちを選んでいたというのもあります。
多分初めてサンプラザに行ったのは1988年のライ・クーダー。あれは今から考えるとあり得ないくらい最高のメンバーを揃えたコンサートでした。しかしライを見るのはあれが初めてだったから、当時はそんなもんだと思ってた。ありがたいような、もったいないような。
あとサンプラザで見たのと言えばB.B.キング、リオン・ラッセル、ネヴィル・ブラザーズ、デイヴ・メイソン、ライがデイヴィッド・リンドレーと来たときも多分一回はサンプラだったような気がします。
1990年代中頃までは、来日アーティストにも定番の様に使われてたけど、いつの間にZepp東京や東京国際フォーラムなど、より新しいホールに取って代わられたようで、やはり老朽化によるものでしょうか。
同時期によく使われていたホールには新宿厚生年金会館、郵便貯金ホール(メルパルクホール東京)、NHKホール、渋谷公会堂などがありましたが、改装されたNHKホールを除き、もうありませんね。渋谷公会堂は今あるやつは建て替えられたものだし。
サンプラザは、近年は横を素通りするだけで中に入ることはなくなっていました。
僕が最後に行ったのは多分これです。もう9年も前だ!
サンプラザは、近年は横を素通りするだけで中に入ることはなくなっていました。
僕が最後に行ったのは多分これです。もう9年も前だ!
Shannon Powell Traditional All-Star Jazz Band来日公演
http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1556.html
http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1556.html
外観も内部の作りも変わったホールですよね。外のドアからチケットのもぎりするところまでのスペースが無駄に広い。その割には中に入るとロビーは狭くて居場所は少ない。スペースの有効活用という意味では昔の建物なんだなぁと思わせます。
中野駅を降りてすぐのシンボル的存在でした。あれがなくなると雰囲気は変わるでしょうね。
2023-06-19 Mon
(L-R)店主アキラさん、工藤Big H晴康さん、鈴木啓志さん
昨晩の『米国南部音楽の夕べ vol.8』、開始時刻ギリギリにお店に着くと、一番乗りで来られていた鈴木啓志さんから「陶守くん、遅いよ!」
し、しつれいしました!!(笑)
でも、この日のDJの中では2番目の会場入りだったんですがねー。
DJは鈴木さん以外には、レゲエ界の重鎮、工藤Big H晴康さん、芽瑠璃堂のAliveさん、藤澤博さん、そして店主のアキラさんというメンツです。皆それぞれ個性的な選曲で、面白かったです。
鈴木さんはメンフィス・ソウルに絞ってかけたのですが、トークで乗ってきてもう語りだしたら止まらない!ピーター・ギュラルニックの主張した事実は間違いだ!と一刀両断にし、持論を展開。アル・ジャクソンとハワード・グライムズ、クラレンス・ネルソンの話題だけで延々と語れそうな勢いです。もうノリが2013年の著書「ゴースト・ミュージシャン」そのまんまです。ヒロシ節健在です。しかし、かけた曲はどれも素晴らしい。
僕はこのイベントは3回目でしたが、今回はニューオーリンズのブラスバンドをテーマにかけました。全てCDです。
St. Louis Blues – Forgotten Souls Brass Band (Gone But Not Forgottenより)
Fly Away – Hot 8 Brass Band (Rockin' with Hot 8より)
Blackbird Special – Dirty Dozen Brass Band (My Feet Can't Fail Me Nowより)
Fat Boy – New Birth Brass Band (New Birth Familyより)
That’s It – Preservation Hall Jazz Band (That's Itより)
Pontchartrain Beach – New Orleans Nightcrawlers Brass Band (Slither Sliceより)
Lazy River – Egg Yolk Jubilee (Labor of Lunchより)
Sweet Dreams – Soul Rebels Brass Band (Unlock Your Mindより)
Cabaret – Treme Brass Band (New Orleans Musicより)
Crosstown Traffic – Bonerama (Live from New Yorkより)
Immigrant Song – Tin Men (Freak for the Industryより)
Theme from Lupin the Third – Brass-A-Holics (I Am Brass-A-Holicより)
王道から外れたものもかけたので、「変わり種担当」のレッテルを貼られてしまったようですが、それではそんなにネタは持ちません(笑)。
ちなみに今回ヒューイ・”ピアノ”・スミスはかけませんでしたが、伝記本は絶賛手売中です。ほしい方は見かけたら是非声をかけてくださいね。
ちなみに工藤さんはレゲエをかけるのかと思いきや、前半はニューオーリンズR&B中心、後半はザディコをガンガンかけ始めたと思ったら、テクスメクスにいきました。工藤さん曰くジャマイカの人は特に年配はみんなソウルやニューオーリンズの音楽、ジャズ、スウィングなどアメリカン・ミュージックをよく知っていて、それがレゲエに反映されているとのこと。そうですよね。特にニューオーリンズのラジオはジャマイカまで届いていたという話は聞いたことがあります。
帰りの電車でご一緒したのですが、僕も行った2016年のニューオーリンズのジャズフェスに行かれていたことが判明。同じライヴをそばで見ていたかも?フェスのことから市内のメシ屋の話まで盛り上がっちゃいました。
2023-06-16 Fri
これから音楽ライターを目指そうという人に向けた入門書的な一冊です。
妹尾みえさんは、僕から見ると同じブルース&ソウル系のライターとして先輩ですが、ライヴハウスに足繫く通うなど現在進行形の音楽シーンを大切にするという意味では勝手に自分に近いものを感じていたので(実際ライヴ会場で会うライターさんNo. 1です)、興味を持って読みました。
難しいことは書いてないし、ボリュームも多くないので、非常に読みやすかったです。ご本人は「既にライターをやっている人は読まなくていい」などと言われていましたが、そんなことはありません。
「ありきたりな形容詞を多用せず音が伝わるような文章を」「データの羅列よりも自分の感じたことを自分の言葉で書こう」「ライターはアーティストと聴き手の橋渡し役」などなど、基本を整理してくれているのは非常にありがたいです。と同時に、わかっちゃいるけどできていない、あるいはやってはいけないとわかっていながらついつい陥りがちなことなどを再認識させてくれます。
これらのポイントの多くはライターをやらずとも、日常で相手に物事を伝えることを考えるとき、いいアドバイスとなって生きてくるはずです。
日々多方面にアンテナを張って情報を発信し続けている妹尾さんならではの各媒体、シーンに対する造詣の深さも垣間見ることができます。先日お会いした際もインディ音楽について発信しているANTENNAという情報サイトを教えてもらいましたが、そのサイトについてもちゃんと触れています。僕のように何年たっても好きなことに猪突猛進しているだけの人間には役立つ情報が多いです。常に色々なことに興味を持ち、視野を広くしていくことの大切さを説いているのはその通りだなと思いました。
ライターに限りませんが、僕は音楽ファンがどうやってその音楽に辿りついたのかという話に非常に興味があります。似たような趣味を持っている人同士でも、そこまでの道のりが全く違うケースもあります。妹尾さんの音楽遍歴も記されていて興味深く読みました。妹尾さんの記事を読まれている人ならばご存じでしょうが、妹尾さんは日本の音楽シーンを聴いてブルースにたどり着いた人です。一方僕は大人になるまで、ほぼ洋楽しか聴いていませんでした。同じテーマで原稿を書いたとしても、そのような背景の違いが書く内容に違いを生むのは当然でしょう。それも面白いんです。
プロのライターとしての心構えについても書かれています。これについては理解はできるものの、僕とは感覚が違うようにも思いました。僕は今年でライターをやるようになって30年になりますが、プロ意識を持ったことがないんです。初めて音楽にときめいて馬鹿みたいにレコード屋通いをした、雑誌を読み漁った、ライヴ会場に通った、いまだそういう「ただの音楽バカ」の気持ちで書いています。伝わるかわからない、興味を持ってもらえるかわからない、読んでくれるかもわからない、でも伝えたい、そんな気持ちで原稿をしたためているのです。いわゆる「プロ意識」を持ってしまったら、初心の情熱を失ってしまうのではという気もするんですよね。これは僕だけかもしれません。
もちろん、原稿を書く以上は、それがいいものになるように自分なりにベストは尽くします。でも、僕はライターとしてはいくら原稿料をもらおうがタダで書こうがアマチュアです。それでいいと思っています。そんな大そうなものではありません。
妹尾さんも好きな音楽を伝えたいという気持ちが大切であることは繰り返し説いています。なので、根本的に意見が異なるということではないでしょう。
この本、ちょっとずるいなと思ったのはおしゃれなイラストをあしらった体裁です。音楽ライターがすごくおしゃれで魅力的な仕事であるかのような「錯覚」を覚えてしまいます。これからの若い世代に訴求するという意味ではいい感じです。いやいや、実際音楽ライターはやりがいのある仕事ですよ(笑)。だって、頼まれなくても勝手にブログなどでディスク紹介やライヴレポートなどやっている人多いでしょ?好きなことを伝えたい人、結構多いんですよ。先日音楽ライターの御大、鈴木啓志さんにこの本の話をしたら「え?今どき音楽ライターになりたい人なんているの?」と元も子もないことを言われてしまいましたが、いますよね?そして本書はそういう人を応援していく一冊になると感じました。
最後になりますが、多くの実例に触れている中で、ヒューイ・”ピアノ”・スミス伝のことにも触れていただきました。妹尾さん、ありがとうございます。励みになります。
ライターに限りませんが、僕は音楽ファンがどうやってその音楽に辿りついたのかという話に非常に興味があります。似たような趣味を持っている人同士でも、そこまでの道のりが全く違うケースもあります。妹尾さんの音楽遍歴も記されていて興味深く読みました。妹尾さんの記事を読まれている人ならばご存じでしょうが、妹尾さんは日本の音楽シーンを聴いてブルースにたどり着いた人です。一方僕は大人になるまで、ほぼ洋楽しか聴いていませんでした。同じテーマで原稿を書いたとしても、そのような背景の違いが書く内容に違いを生むのは当然でしょう。それも面白いんです。
プロのライターとしての心構えについても書かれています。これについては理解はできるものの、僕とは感覚が違うようにも思いました。僕は今年でライターをやるようになって30年になりますが、プロ意識を持ったことがないんです。初めて音楽にときめいて馬鹿みたいにレコード屋通いをした、雑誌を読み漁った、ライヴ会場に通った、いまだそういう「ただの音楽バカ」の気持ちで書いています。伝わるかわからない、興味を持ってもらえるかわからない、読んでくれるかもわからない、でも伝えたい、そんな気持ちで原稿をしたためているのです。いわゆる「プロ意識」を持ってしまったら、初心の情熱を失ってしまうのではという気もするんですよね。これは僕だけかもしれません。
もちろん、原稿を書く以上は、それがいいものになるように自分なりにベストは尽くします。でも、僕はライターとしてはいくら原稿料をもらおうがタダで書こうがアマチュアです。それでいいと思っています。そんな大そうなものではありません。
妹尾さんも好きな音楽を伝えたいという気持ちが大切であることは繰り返し説いています。なので、根本的に意見が異なるということではないでしょう。
この本、ちょっとずるいなと思ったのはおしゃれなイラストをあしらった体裁です。音楽ライターがすごくおしゃれで魅力的な仕事であるかのような「錯覚」を覚えてしまいます。これからの若い世代に訴求するという意味ではいい感じです。いやいや、実際音楽ライターはやりがいのある仕事ですよ(笑)。だって、頼まれなくても勝手にブログなどでディスク紹介やライヴレポートなどやっている人多いでしょ?好きなことを伝えたい人、結構多いんですよ。先日音楽ライターの御大、鈴木啓志さんにこの本の話をしたら「え?今どき音楽ライターになりたい人なんているの?」と元も子もないことを言われてしまいましたが、いますよね?そして本書はそういう人を応援していく一冊になると感じました。
最後になりますが、多くの実例に触れている中で、ヒューイ・”ピアノ”・スミス伝のことにも触れていただきました。妹尾さん、ありがとうございます。励みになります。
2023-05-22 Mon
湘南台駅の周辺が音楽であふれるSHOWなんだいDEショー。横浜ジャグバンドフェスの居酒屋けいこでもお馴染みの中華三番のひーちゃんが頑張って3年ぶりの開催です。
僕も今年は見に行きます。楽しみー!
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SHOWなんだいDEショー Vol. 9
日時:2023年5月27日(土)12:00-20:00
会場:湘南台駅(小田急線、相鉄線、横浜市営地下鉄)周辺の以下店舗
駅東口:中華三番、居酒屋かずどん、1 Café & Bar、Bar Outglowth、家庭料理じゅんちゃん、Bar ARS NOVA
日時:2023年5月27日(土)12:00-20:00
会場:湘南台駅(小田急線、相鉄線、横浜市営地下鉄)周辺の以下店舗
駅東口:中華三番、居酒屋かずどん、1 Café & Bar、Bar Outglowth、家庭料理じゅんちゃん、Bar ARS NOVA
駅西口:やっさいもっさい、創作居酒屋 風、Bar 北都館
料金:3,000円(各会場共通1日周遊券;当日販売)
出演:Mooney、高田エージ、Ami☆Tame、W.C.カラス、入船亭扇里、ROIKI、金尾よしろう、町田謙介、杉原徹、ナオユキ、ザディコキックス、大石みつのん、コージー大内、あおちゃんのびちゃん、小坂なおみ、ワタナベマモル、スカンクちかの&フレンズ、minko &アルバート寄木 w/ゆきどん、口石和人、The TACHOMETERS、ナギラアツシ、遠藤コージズ、華村灰太郎、高橋マコト、けんごちゃん、めおと楽団ジキジキ、碇&水木&後閑、鬼頭つぐる、リトルキヨシ、ハルシゲ楽団、Joe-Go、Burger Hoppys、木村直之、スーマー、THE DIXIE TRIBE、ROCK 'N' ROLL GUMBO、カトキチ、マユミール、衣美、江口優、藤縄てつや、東京珍太、ツカサ&櫻田、大久保理、龍麿、けんぢまん、キンキンバンド、VIVA、他
主催:湘南台音楽祭実行委員会
音響:SkE音楽工房
料金:3,000円(各会場共通1日周遊券;当日販売)
出演:Mooney、高田エージ、Ami☆Tame、W.C.カラス、入船亭扇里、ROIKI、金尾よしろう、町田謙介、杉原徹、ナオユキ、ザディコキックス、大石みつのん、コージー大内、あおちゃんのびちゃん、小坂なおみ、ワタナベマモル、スカンクちかの&フレンズ、minko &アルバート寄木 w/ゆきどん、口石和人、The TACHOMETERS、ナギラアツシ、遠藤コージズ、華村灰太郎、高橋マコト、けんごちゃん、めおと楽団ジキジキ、碇&水木&後閑、鬼頭つぐる、リトルキヨシ、ハルシゲ楽団、Joe-Go、Burger Hoppys、木村直之、スーマー、THE DIXIE TRIBE、ROCK 'N' ROLL GUMBO、カトキチ、マユミール、衣美、江口優、藤縄てつや、東京珍太、ツカサ&櫻田、大久保理、龍麿、けんぢまん、キンキンバンド、VIVA、他
主催:湘南台音楽祭実行委員会
音響:SkE音楽工房
各会場のタイムテーブル(公式サイトより)