トーク・イベントのご案内
来たる3月25日にこんなイベントをやります。

元々翻訳家の森田義信さんと僕でお互いの本の発行を記念してトークでもやりましょうかという緩い企画だったのですが、なんと急遽ニューオーリンズから帰国中の山岸潤史さんが参加してくれることとなりました。

ということで、山岸さんを主賓に迎えて、あれこれと語りつつ、音楽をかけていきたいと思っております。コロナ流行後のニューオーリンズの様子なども山岸さんから聞くつもりです。

あと、ヒューイ伝にも書かれていますが、山岸さんはヒューイと一度リハーサルで共演したことがあり、そのときのこともぜひぜひご本人から聞きたいです。

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2023年3月25日(土) 19:00開場 20:00開演
三鷹・南風酒場バイユーゲイト
http://bayougate.voxx.jp/
『ヒューイ・”ピアノ"・スミス伝』&『ハイ・フィディリティ新装版』出版記念
陶守正寛×森田義信 DJ&トークショー
Special Guest:山岸潤史(from New Orleans)
料金:1,000円
楽しい音楽をかけながら本を語る、ニューオーリンズを語る...本の販売もします

3月25日イベントチラシ


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ニューオーリンズ | 01:50:30 | コメント(0)
追悼:ヒューイ・“ピアノ”・スミス 1934 - 2023
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Huey performing with the Clowns at Tipitina’s, 1979.
Photograph by Michael P. Smith, © The Historic New Orleans Collection,
2007.0103.1.801, Negative 5A

ヒューイ・”ピアノ”・スミスが2月13日夜、バトンルージュの自宅で就寝中に亡くなったそうです。

昨日、起きてスマホを見たら、ヒューイの長女アケリンさんからそのことを知らせるメッセージが入っていました。ヒューイ伝の著者ジョン・ワートさんと僕宛に「昨晩お父さんが亡くなりました。私たちと人生を共にしてくれてありがとう」と。

呆然としました。僕は、ヒューイ伝の日本語版を彼の存命なうちに出したいと動き、それはなんとか昨年11月に実現することができましたが、まさかこんなにすぐのお別れになるとは!

ヒューイは高齢(89歳)ではありましたが病気だったわけではなく、突然の訃報でした。アケリンさんもニューオーリンズ在住で離れて暮らしているため、死に目に会うことはできなかったそうです。穏やかな最期だったとのことでそれはせめてもの救いだと思いますが、涙があふれてきます。彼が元気なうちに会いに行けないか模索もしておりましたが、もう叶いません。

ニューオーリンズR&Bをつくった男、間違いなく確固たる個性を持った偉大な人でした。

ヒューイは、ニューオーリンズR&Bはもとより、20世紀のポピュラー音楽を形作ったキーマンのひとりだと思いますが、その割にはあまりにも知られていません。正当な評価がなされているとは思えないのです。僕がこの本を出したいと考えたのも彼のことをもっと知ってほしいと思ってのことでした。

僕自身、この本を読んで初めて知ることが多かったのです。ヒューイの死に便乗して商売をするようで気が引けますが、ヒューイ伝を是非多くの人に読んでもらいたいと思っています。図書館で借りてもいいです。現時点で全国20か所の図書館に入っています。

ヒューイは1934年1月26日、ニューオーリンズに生まれ、10代の頃から音楽活動を始めました。1953年にサヴォイ・レコードからシングル” You Made Me Cry”でデビュー。これは大きなヒットとはなりませんでしたが、1956年にエイス・レコードに移り、1957年の”Rocking Pneumonia And The Boogie Woogie Flu”を始め、のちのスタンダートとなる曲を連発しました。底抜けに楽しいヒューイ・スミス・アンド・ザ・クラウンズのサウンドは、アラン・トゥーサンやドクター・ジョンを始めとするミュージシャンたちに大きな影響を与え、ニューオーリンズ・サウンドの土台となりました。

1960年代はエイスからインペリアル、インスタントと移籍して活動を続けましたが、ヒューイは彼の母親が信仰していたエホバの証人への信仰を強めていき、それに伴い1970年代に入ると活動のペースは落ちていきました。それでも、1978年に新作アルバムのレコーディング(1981年に英チャーリーより『Rockin' & Jivin'』としてリリース)、1978年、1979年、1981年とニューオーリンズのティピティーナスで公演。ジャズフェスにも2回出演するなど活動は続きました。

1981年にバトンルージュに移住。新天地でも活動を模索したもののうまくいかず、その後は完全引退状態となりました。1988年から2000年までの間、ヒューイはロイヤルティ回収を請け負う業者から訴訟を起こされ、敗訴という結末を迎えています。

裁判が終結した2000年、ロックンロール・ファウンデーションによってロックンロール・パイオニア賞を授与されました。ヒューイは、ニューヨークで開催された授賞式に赴き、久々のステージに立っています。しかし、これが彼の生涯最後のステージとなってしまいました。2002年にツアーの企画が持ち上がったものの実現はせず、ニューオーリンズの恒例のピアノ・ナイトへの出演も一度は決まりながら、彼が出演することはありませんでした。

近年もアケリンさんはちょくちょくヒューイのもとを訪れていたのですが、昨年末、日本語版のヒューイ伝と別冊のデータブックを二人で見ながら大いに盛り上がったと教えてくれました。二人とも日本語が読めないのに、本をめくりつつ楽しい時間を過ごしたそうです。彼女のメールには、データブックを眺めるヒューイの写真が添えられていました。

この本を出すにあたり、僕は著者のワートさんやアケリンさん、米国の出版社のLSUプレスの担当者とはやり取りをしていましたが、ヒューイとは連絡の術がなく、彼がどう思っているのか確認できずにおりました。本のあとがきにも書いたのですが、彼には余計なお世話なのかもしれないと思ったこともありました。

しかし、アケリンさんからの報告を受けてこの本を出したことが報われた気がしました。喜んでくれているんだ、と。

ヒューイの生誕90周年となる来年、ニューオーリンズでヒューイ展を企画しようとの話も挙がっていたと聞いています。本人は亡くなってしまいましたが、これはぜひ実現してほしいものです。アケリンさんは、自らを世界一のお父さんのファンだと言ってはばからない人で、ヒューイのレコードや記事などを色々と集めているそうです。彼女のそんなコレクションも展示が実現すれば見ることができるのでしょう。

ヒューイ、素晴らしい音楽をありがとうございました。僕はこれからも彼の素晴らしさを微力ながら伝えていきたいと考えています。


ニューオーリンズ | 16:46:03 | コメント(0)
2月のイベント予定です
ヒューイ・”ピアノ”・スミス伝発売から間もなく3か月。手売りも一段落つきましたが、今月は2つのイベントに本を持ってお邪魔する予定です。

2月18日(土)開場13:30 開演14:00 下北沢・3313アナログ天国
Mardi Gras in Shimo-Kita (Talk & DJ Show)
ホストDJ:文屋章&佐藤英輔、ゲスト:陶守正寛

チャージ:2000円(1ドリンク付き)
マルディグラを祝してニューオーリンズ音楽をかけまくるイベントにゲストで呼ばれました。昼のイベントです。トークの部分に参加
して本のことやヒューイのことを話す予定です。
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2月23日(木・祝)18:00-23:00 下北沢・メンフィス兄弟
米国南部音楽の夕べ vol. 6
ヒューイ’ピアノ’スミス伝出版記念スペシャル

Special Guest DJ:ピーター・バラカン
DJ’s:陶守正寛、Alive(芽瑠璃堂)、二見潤、akiraメンフィス兄弟。
チャージ:2000円(+ドリンク)
ピーターさんがメインですが、僕もDJとして参加します。ヒューイのカバー曲などを中心にかけようと思っています。
メンフィス兄弟223

参加するイベントはこれだけですが、他出かける際は本も持っていこうと思うので見かけたら声をかけてくださいね。別冊のヒューイ・データブックは思いのほか好評で用意したものが全部売れてしまいました。少しだけ情報の追加、修正を行なったものを増刷しましたので、それが近々出来上がる予定です。

本は3,700円(税込=本当は3,740円ですが端数は頂きません)、データブックは500円(税込)です。セットでお買い上げいただくと4,000円(税込)になります。

本を買っていただいたみなさま、本当にありがとうございます。
感想など聞かせてもらえると嬉しいです。
今後ともヒューイ・スミスをよろしくお願いします。


ニューオーリンズ | 12:20:17 | コメント(0)
ヒューイ伝出版記念イベント開催!
ヒューイ・“ピアノ”・スミス伝、11月18日の出版日から1か月あまりが経ちました。本はおかげさまでおおむね好評をいただいているようで、嬉しい限りです。引き続き、口コミなどぜひよろしくお願いします。

これまで2つの出版記念イベントに加え、ライブ・イベントなどでの販売を行なってきました。

出版記念イベントはいずれも満員のお客様に来場いただき、非常に盛り上がりました。ありがとうございました。

イベント第一弾、11月27日(日)神楽坂K.WESTは、藤井康一さんのライヴをフィーチャー。ウクレレ弾き語りの1時間はノリノリで楽しく、牧伸二ネタなど涙が出るほど笑いました。やはり藤井さんは最高です。ミュージシャンである以前に生粋のエンターテイナーであることを実感させたパフォーマンスでした。また、この日のために、ヒューイの曲を2曲用意してくれていたのは感動でした。本当は3曲目も考えていたそうですが、間に合わなかったそうで。でも、その気持ちだけでも十分です。最後は、定番の”Sunny Side of the Street"。これも沁みました。

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文屋章さんと二見潤さんのDJタイムでは、ヒューイをテーマにひと捻り効いた選曲で楽しませてくれました。お二人とも僕のデータブックに掲載されていなかったヒューイのカバー・バージョンを取り上げたあたりはさすがです。

僕も本の出版に至るまでの経緯を話す場を設けました。ヒューイの長女、アケリンさんから届いた応援メッセージを流しましたが、ちょっとトラブルで途中止まってしまい失礼しました。

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第二弾イベント、12/10(土)のブライトブラウンはZydeco Kicksとニヒル・ブラザーズの対バンというライヴ中心のセッティングでした。いずれもブライトブラウンに登場するのは初めて。お客さんは普段の彼らのお客さんとはだいぶ違うお店の常連さん中心でした。いつもとは違うことずくめでしたが、両バンドとも盛り上げてくれました。ニヒルはオリジナルを中心にファンキーなグルーヴを展開。ベースのSpeedyさんが欠席でしたが、ピアノの木村さんは相変わらずぶっ飛ばしていました。素晴らしい!

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Zydeco Kicksは、いつもは終盤でやる”Give Him Cornbread"からスタートするという意表をつく展開。というのも1時間ほどの時間の中で後半はなんと5曲もヒューイ・スミスの曲をやったのです。"Don’t You Know Yockomo"なんて、自然にザディコになっていて案外ヒューイとザディコって相性いいんだなと思いました。メンバーが皆んなで入れ替わり立ち替わりで歌うあたり、ヒューイの精神を引き継いでいる感じでした。

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ラストはニヒルの木村さんがアップライト・ピアノで入り、"Don’t You Just Know It"で締めました。最高の出版記念イベントになりました。ありがとうございました。

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この2つのイベントの間の12月3日(土)には、僕はZydeco Kicksの大阪公演に付いて行って本を販売してきました。初めて行った塚本のハウリンバーは最高に居心地のいいお店でした。また行きたい!

12月18日(日)は下北沢のメンフィス兄弟の「米国南部音楽の夕べ」に参加。DJとしてヒューイ関連の曲をあれこれかけさせてもらいました。もちろん本も販売しました。

これまでに手売りで70冊あまりの売り上げがありました。買っていただいたみなさんありがとうございます。まだまだ盛り上げていきますよ!

よろしくお願いします。



ニューオーリンズ | 23:08:58 | コメント(0)
Don't You Just Know It
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本日2022年11月18日、ヒューイ・"ピアノ"・スミス伝が発売になりました。

皆さん是非読んでね!拙訳はさておき、内容の濃さ、素晴らしさは保証します。ヒューイのことを知らないけど読んでみたいという人は、ネット検索からでもいいので、彼の曲を流しながら聴いてみてください。僕も翻訳しながらそうしていました。ウキウキわくわく楽しくなってくるはずです。

彼の最も有名な曲のひとつ、"Don't You Just Know It"の歌詞を書き出して訳してみました。この繰り返される"Don't You Just Know It"というフレーズ、シンプルながら意外と訳が難しい。直訳すると「知らないのですか?」という感じですが、まあ歌詞を見てもらえばわかりますが、そんなに深い意味はないのだろうと思います。荒唐無稽な歌詞をルーズヴェルト・ライト(低音)、ジェリ・ホール(女性)、ボビー・マーシャン(アハハハの部分)とリードを歌いつなぎ、それに呼応するように入るコーラスは恐らくヒューイも含めその場にいた全員がやっているんでしょう。

カバーバージョンでは歌詞を変えて歌っている人も多いです。久保田麻琴のバージョンなどもそうですね。日本語ですが、英語の訳詞というわけでもないです。

なんだかよくわからないけど、なんとなく笑っちゃって楽しくなってくる曲です。

もう終了しちゃったみたいだけど1年以上に渡り香取慎吾出演のサントリー金麦THE LAGERのCMで流れていましたね。これはカバーのように聞こえますが、雰囲気はオリジナルそのままです。

この曲が誕生したいきさつも本には書かれているので、それとあわせてどうぞ。

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Don’t You Just Know It
Written by Huey P. Smith and Johnny Vincent
© Cotillion Music Inc. Pamco Music Inc. All rights reserved

*文字起こしと和訳:陶守正寛

俺のものを使えば負けはないだろう
(しらないのか?)
私の靴は左足だけ二つ
(しらないのか?)

[コーラス]
アハハハ(アハハハ)
エーイオ(エーイオ)
グバグバグバグバ(グバグバグバグバ)
アハハハ(アハハハ)
アハハハ(アハハハ)
エーイオ(エーイオ)

おいカワイ子ちゃん散歩でもいかが?
(しらないのか?)
ロックするところをロールしちゃったよ
(しらないのか?)

[コーラス]


ベイビー、ベイビー、愛しい人よ
(しらないのか?)
突っ込むところを押しこんじゃったよ
(しらないのか?)

[コーラス]


山は高いほど風は涼しいんだ
(しらないのか?)
カップルは若いほど強く抱きしめあうんだ
(しらないのか?)

[コーラス]


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I can't lose with the stuff I use
(Don't you just know it?)
Baby, don't believe I wear two left shoes
(Don't you just know it?)

[chorus]
Ah-ha-ha-ha (ah-ha-ha-ha)
Ay-ay-oh (ay-ay-oh)
Gooba-gooba-gooba-gooba (gooba-gooba-gooba-gooba)
Ah-ha-ha-ha (ah-ha-ha-ha)
Ah-ha-ha-ha (ah-ha-ha-ha)
Ay-ay-oh (ay-ay-oh)

Hey pretty baby, can we go strollin'?
(Don't you just know it?)
You got me rockin' when I oughta be rollin'
(Don't you just know it?)

[chorus]

Baby, baby, you're my blue heaven
(Don't you just know it?)
You got me pushin' when I oughta be shovin'
(Don't you just know it?)

[chorus]

Higher the mountain, cooler the breeze
(Don't you just know it?)
Younger the couple, the tighter they squeeze
(Don't you just know it?)


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ニューオーリンズ | 12:02:03 | コメント(0)
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